研究課題
本研究では、(1)NOD SCIDマウスに腎癌術後検体を皮下移植してpatient-derived xenograftモデルマウスを確立する。(2)推定腫瘍体積が約100 mm3になった時点で,別NOD SCIDマウスに再移植を行うという操作を連続する。(3)摘出した腫瘍の一部は3次元培養への適用とともに、病理組織解析による悪性度変化の評価を行う。(4)mRNAならびにmiRNAの網羅的発現解析を行い悪性化に関わる分子の同定を行う。これらにより,腎癌悪性化機構の解明基盤を構築するというものである。(1)、(2)ではNOD SCIDマウスに腎がん術後組織を20例以上移植した。その内12例において生着が認められた。また4例は継代4、1例が継代2まで進めることができた。(3)においては、腎癌細胞株の3次元培養が難しいことがわかり、PDXマウス由来腎癌細胞の3次元培養を進めず、病理学的解析を中心とした。その結果、腎癌術後の病理組織と比べ、継代を重ねるごとに、核の異型性や細胞質と核との比率に顕著な変化が認められた。これは継代により選択圧がかかり、より悪性度の強い細胞(癌幹細胞の可能性を考えている)が生き残りヒエラルキーを構成して腫瘍を形成したのではないかと考える。(4)に関しては継代腫瘍例数が多くないため、まず術後腎癌検体ならびに腎癌患者血清におけるmRNAやmiRNA発現解析を進めた。その結果、腎癌術後組織の非癌部と比べ癌部で特徴的発現を示すmiRNAを同定した。特にmiR-27a-3pが淡明型腎細胞癌の再発予測因子となることを突き止めた。今後他の発現変化が認められたmiRNAのより詳細な解析により腎癌の悪性化機構が解明できる成果を得た。
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