研究課題
ウェルナー症候群(WS)は,テロメア機能不全による体細胞の早期老化が全身性に加齢を促進して,皮膚潰瘍,糖尿病,動脈硬化、がんなどを早期に発症する早老症である。本研究では,患者iPS細胞の変異遺伝子を人工ヌクレアーゼにより修正し,正常で拒絶のない患者iPS細胞を樹立することを目的とする。本年度はまず、患者iPS細胞が有するWRN遺伝子変異Mut-4 (c.3139-1G>C)の領域を含むエクソン25~27をカバーする正常WRN遺伝子を、健常者ゲノムDNAを鋳型として増幅し、この領域を組み込んだターゲティングベクターを構築した。そして、前年度に構築したWRN遺伝子標的TALEヌクレアーゼとともにiPS細胞に導入し、ターゲティングベクターのイントロン部分に組み込まれたpuromycin耐性遺伝子をマーカーとして、puromycin耐性のiPS細胞クローンを選択培養により多数樹立した。ターゲティングベクターでカバーされたWRN遺伝子領域のより上流及びより下流のプライマーと、puromycin耐性遺伝子にデザインされたプライマーを組み合わせて、PCRによりターゲティングベクターがiPS細胞の染色体におけるWRN遺伝子標的部位と置き換わっているクローンを選択し、さらにシーケンシングによりMut-4が正常に修正されているクローンを同定した。今後の検討課題として、WSのQOL低下の原因の一つである皮膚潰瘍を対象とした、間葉系幹細胞を用いた治療を想定し、患者iPS細胞及び変異が修正されたiPS細胞から誘導した間葉系幹細胞の性状を比較して、変異が修復されたiPS細胞由来間葉系幹細胞では早期老化の表現形が抑制されていることを証明するとともに、皮膚潰瘍モデルマウスへの移植実験を通じて、間葉系幹細胞を用いた皮膚潰瘍治療のPOCを確立したい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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