我々は硫化水素(H2S/HS-)が心筋梗塞後に生成される親電子物質を求核置換反応により直接消去し,慢性心不全を抑制する可能性を明らかにした.しかし,H2S/HS-が求核シグナルとして働く分子実体かどうかについては不明であった.本研究では、内因性活性硫黄の分子実体を明らかにし,硫黄蓄積を主眼とした慢性心不全治療法の有効性を確立させることを目的とした.その結果,タンパク質などに含まれるシステインのポリ硫黄鎖が活性硫黄の分子実体として働くことが明らかとなった.さらに,ポリ硫黄を多く含む食品をマウスに摂取させることで,H2S/HS-よりもはるかに強い心筋保護効果が得られることを確認した.
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