研究課題/領域番号 |
25670033
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20243040)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨髄幹細胞 / 血液脳関門 / リアルタイムイメージング |
研究概要 |
骨髄間葉系幹細胞(MSC)の静脈内投与が、脳梗塞などの脳障害を改善することが報告されているが、その脳保護作用機構、特に、静脈内投与されたMSCが血液脳関門(BBB)を通過し脳実質に侵入するメカニズムについては不明である。本研究では、蛍光タンパク融合機能分子作製と蛍光Ca2+イメージング技術を駆使することにより、MSCがBBBを通過する際の機能分子動態と細胞内情報伝達を可視化し、MSCのBBB通過機構を解明することを目的とする。MSCが脳微小血管内皮細胞(BMEC)層を通過する際の機能分子動態および細胞内情報伝達のリアルタイム可視化のため、青色蛍光タンパク質msECFPを発現させることによりMSCの細胞動態を、黄色蛍光タンパク質であるVenusとの融合タンパクを作製することでBMEC細胞膜上に発現しタイトジャンクション形成に重要な役割を果たしているClaudin-5の分子動態を、Ca2+濃度変化を高感度に検出可能である赤色蛍光Ca2+イメージングタンパク質R-GECOを用いることで細胞内Ca2+動態を、三者同時に観察できるリアルタイムイメージング系を構築した。実験の結果、MSCのBBB透過性が、タイトジャンクション形成の程度、すなわち、BBBバリア機能に影響されることを示唆する観察結果が得られた。そこで、BBBバリア機能に影響を及ぼす因子の同定のためBBB形成に関与するアストロサイトおよびペリサイトの培養上清がBBBバリア機能に及ぼす影響を調べたところ、いずれの培養上清もBBBバリア機能を上昇させることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MSCが脳微小血管内皮細胞(BMEC)層を通過する際の機能分子動態および細胞内情報伝達のリアルタイム可視化のため、青色蛍光タンパク質msECFPを発現させることによりMSCの細胞動態を、黄色蛍光タンパク質であるVenusとの融合タンパクを作製することでBMEC細胞膜上に発現しタイトジャンクション形成に重要な役割を果たしているClaudin-5の分子動態を、Ca2+濃度変化を高感度に検出可能である赤色蛍光Ca2+イメージングタンパク質R-GECOを用いることで細胞内Ca2+動態を、三者同時に観察できるリアルタイムイメージング系を構築し、観察を行った。研究の途上で、MSCのBBB透過性が、タイトジャンクション形成の程度、すなわち、BBBバリア機能に影響されることを示唆する観察結果が得られた。そこで、BBBバリア機能に影響を及ぼす因子の同定のためBBB形成に関与するアストロサイトおよびペリサイトの培養上清がBBBバリア機能に及ぼす影響を調べたところ、いずれの培養上清もBBBバリア機能を上昇させることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
BBBバリア機能およびMSCのBBB透過性に影響を及ぼす因子を同定するために、アストロサイト・ペリサイトの培養上清中で培養したBMECでのMSC透過を、通常培地で培養したBMECの場合と比較するとともに、抗体アレイなどの手法によりアストロサイト・ペリサイト培養上清に含有される因子の網羅的解析を行う。
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