胸腺間質性リンパ球新生因子 (TSLP)は上皮細胞が産生し、免疫応答のタイプを決定するサイトカインである。本研究では、ある種の低・中鎖脂肪酸がTSLP産生誘導能が強く、特に吉草酸 (VA)ならびにイソ吉草酸が強い活性を示すことを見いだした、これらの作用発現には既知の短・中鎖脂肪酸受容体や嗅覚受容体は寄与しない可能性と、ERK、Rho キナーゼおよびNF-κBの活性化経路が関与することが示唆された。VAにはHDAC阻害作用があるものの、HDAC阻害活性とTSLP産生の強さとは相関しなかった。以上の結果から、VAならびにイソ吉草酸は未知の受容機構によりTSLP産生を誘導することが示唆された。
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