研究課題/領域番号 |
25670035
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 十志也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (20396930)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | PPARδ / プロテオミクス |
研究概要 |
ネイティブなタンパク質複合体を取り扱うプロテオミクス解析では、過剰発現系とは異なり微量なタンパク質を効率良く濃縮する必要があることに加え、核抽出液調製時の高塩濃度への暴露により結合エネルギーの弱いタンパク質の複合体が形成できなくなること、足場となる応答配列を含むDNAがないために複合体形成が困難になることが予想される。さらには、PPARδの転写共役因子複合体は経時的に変化することも組織あるいはリガンド依存的に形成される複合体の同定を困難にしている。そこで本研究では、光反応性のdiazirine環を有するL-photo-LeucineとL-photo-Methionineとを含む培地中にてTHP-1細胞をマクロファージへと分化させた後、リガンドを添加し経時的にクロスリンクさせ同定する方法を検討した。その結果、光反応性アミノ酸を含む培地にて培養することによって細胞毒性が認められた。この結果を踏まえ、現在ホルムアルデヒドを用いてPPARδ転写複合体をクロスリンクさせて同定する方法を検討している。 これまでにPPARδと相互作用することを確認しているSATB1につき、shRNAによりノックダウンしたTHP-1細胞を作成しPPARδアゴニストによる標的遺伝子発現誘導に及ぼす影響を検討した。その結果、SATB1ノックダウン細胞ではマクロファージ特異的なPPARδ標的遺伝子の発現誘導が特異的に減弱することが明らかとなった。これを踏まえ、SATB1とPPARδとの相互作用部位の同定およびSATB1のゲノム上の結合部位の同定を行うため抗体作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定したphoto-crosslinkを目的とした検討において、photo-アミノ酸を含む培養液中において細胞分化について条件検討を行ったが細胞毒性が生じてしまったことから、他のクロスリンクに方法を変更する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
PMA添加により分化させたTHP-1マクロファージをα-アマニチンにて処理してRNAPII活性を阻害した後、PPARδアゴニストを含む培地と置き換えることにより、一斉に転写を開始させる。アゴニスト添加後、経時的にPPARδ転写共役因子複合体をホルムアルデヒドにてクロスリンクさせtargeted proteomicsにて相互作用タンパクを同定する。 PPARδ-SATB1複合体形成により制御される遺伝子を同定し、クロマチンループ形成に及ぼす影響についてSATB1ノックダウン細胞を用いて3C等により明らかにする。
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