研究課題
挑戦的萌芽研究
ゼブラフィッシュを用いた脳血管障害を対象とした研究はあまり行われていないため、本研究では、ゼブラフィッシュに低酸素を負荷し、その後の脳血流の変化およびそれに伴う脳実質細胞の変化を観察した。血管内皮細胞にeGFP、赤血球にmRFP を発現させたダブルトランスジェニックゼブラフィッシュおよび、神経細胞 (中脳視蓋) にカルシウムインジケーターGCaMP、赤血球にmRFP を発現させた系統を実験に用いた。飼育水を窒素でバブリングすることで低酸素負荷を行い、通常の飼育水に戻すことで再酸素負荷を行った。トリカイン入り低融点アガロースで稚魚を包埋し、ガラスボトムディッシュで観察を行った。細胞死はアクリジンオレンジ染色を行い、評価した。ゼブラフィッシュの稚魚に低酸素負荷を行うことで、一定時間経過後に血流が停止し、脳内血流が心臓近傍のDorsal aorta (DA) に先行して生じることが示された。また、低酸素負荷によって、血流が停止した後、再酸素負荷を行うことで、脳内血管の一部において再還流を行う事ができた。さらに、低酸素-再酸素負荷後24 時間において細胞死が惹起されることが示唆された。次に、低酸素負荷が神経活動と血流に与える影響を同時に可視化するため、神経細胞にGCaMP、赤血球にmRFP を発現させた稚魚で経時的に観察を行った。すると、低酸素負荷による血流停止に先行して、GCaMP の輝度が上昇することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
低酸素負荷により、脳における虚血再灌流障害の再現が可能となる系の確立に成功した。脳梗塞モデルについては更なる検討が必要である。
低酸素負荷モデルにおける研究を推進することにより、薬理学的検討をすすめ薬効評価系としての有用性を明らかにする。
ゼブラフィッシュを用いた脳虚血モデルの作製がうまく進行していない。これらを用いた研究用の経費を次年度に使用する予定である。当初予定していたレーザー光による血栓の形成が安定的には行えないため、血中に薬物を投与することを想定しており、それら試薬や消耗品の購入により経費を執行する予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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