研究課題
前年度の研究により、ゼブラフィッシュを低酸素に暴露することにより、脳内の血流停止が心臓近傍のDorsal aorta (DA) の血流停止に先行して生じることが示し、ゼブラフィッシュの低酸素負荷が脳虚血モデルとなりうることを明らかにした。本年度の研究では、ゼブラフィッシュへの低酸素-再酸素処置が、脳虚血-再灌流モデルとしての妥当性を有するかについて、脳内のニューロン死およびニューロンの細胞内カルシウム濃度の変化を指標に検討を行った。実験には、血管内皮細胞にeGFP、赤血球にmRFP を発現させたダブルトランスジェニックゼブラフィッシュ、神経細胞 (中脳視蓋) にカルシウムインジケータータンパク質GCaMP、赤血球にmRFP を発現させた系統ならびに神経細胞にKaedeを発現させた系統を実験に用いた。ニューロン死はアクリジンオレンジ染色ならびにKaedeの蛍光強度により検出した。ゼブラフィッシュの稚魚に低酸素負荷を行い、その後再酸素化を行うことにより、24時間後の脳内においてニューロン死が誘発された。また、その過程におけるニューロン内のカルシウム濃度を測定したところ、ニューロン活動の変化が観察された。さらに、この低酸素によるニューロン死は低温において減少し、高温において促進された。以上の結果は、げっ歯類における報告と一致しており、本実験モデルが哺乳類の脳虚血-再灌流モデルと類似した性質を有していることを示唆するものである。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 4件)
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