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2013 年度 実施状況報告書

ファゴサイトーシス誘発作用に基づく制がん性PS二量等価体の創製

研究課題

研究課題/領域番号 25670048
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関北海道大学

研究代表者

周東 智  北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70241346)

研究分担者 福田 隼  北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30434450)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードホスファチジルセリン / ファゴサイトーシス / 二量等価体 / クアトロフェニル
研究概要

細胞膜脂質二重層は非対称であり、その構成成分の一つであるホスファチジルセリン(PS)は通常細胞膜内側に存在する。従って、その極性頭部(セリンリン酸部)は細胞内に配向しているが、アポトーシスの際には外側の細胞膜表面に露出することで、ホスファチジルセリンを誘発する。本研究は、“PSを二量化すればセリンリン酸部が常に細胞表面に露出してファゴサイトーシスを誘発する”との作業仮説に基づき、PS二量等価体を設計・合成し、実際にファゴサイトーシス誘発作用を有することを明らかにする。開発するPS二量等価体は、アポトーシス/ファゴサイトーシス機序の解析のための薬理ツールとして有用であり、さらに、新規作用機序に基づく制がん薬創出の端緒となることを目指すものである。
通常のリン脂質様の飽和または不飽和脂肪酸を二量化したのみでは、疎水性部の折れ曲がりが生じ、二つのセリンリン酸部がどちらも細胞内に配向することが懸念される。そこで、このような折れ曲がりを防ぐ目的で、疎水鎖中央部に直線性の剛直構造を導入することにした。剛直構造としては、ベンゼン環が4つ連結したクアトロフェニル構造を選択し、PS二量等価体を設計した。目的物の合成を進めた過程で、溶解性が劣悪であり、合成、特に高純度精製が困難であることが判明した。この劣悪な溶解性はベンゼン環が連結することによる平面性によって、強力な分子間スタッキング相互作用が生じるためと推察した。そこで、このような平面性を打破するべく、ベンゼン環上にメチル基を有するクアトロフェニル構造を導入したPS二量等価体を新たに設計した。現在、その合成を鋭意進めているが、中間体の比較では期待通り溶解性の大幅な向上が認められている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予想外の劣悪な溶解性から、分子設計を再検討する必要が生じた。しかしながら、現在順調に合成は進捗しており、近々に最初の目的物の合成が達成されるものと考えている。さらに、評価系の構築も順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

本年度は前半期にPS二量等価体の合成を完了し、その後、細胞系での評価を実施する。現在、キラーT細胞の活性化を検討する評価系の構築を検討しており、近々確立するものと考えている。同系での評価でキラーT細胞に対する評価を確認した後、ファゴサイトーシス誘発能を調べる予定である。時間的にさらに余裕がある場合には、若干の構造―活性相関の検討を実施する。

次年度の研究費の使用計画

ほぼ、当初の予定通り使用したが、試薬使用量において計画と若干の違いが生じたため、約5万円を次年度使用とした。
全額合成試薬の購入にあてる。

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公開日: 2015-05-28  

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