研究課題
本年度は、昨年度の研究成果、すなわち (1) NPC1L1について、そのホモログであるNPC1のトラフィッキング異常に関わる点突然変異に相当する点突然変異、を人為的に導入することにより、ファーマコロジカルシャペロンによって修正可能な細胞内局在異常変異体を作製することが出来ること、ならびに(2)当該のファーマコロジカルシャペロンとして,ステロイドならびにフェナンスリジノン骨格を有する化合物をいくつか見いだしたこと、を受け、[A]NPC1L1に対するリガンドの構造展開、ならびに[B]それらのリガンドの細胞レベルおよび動物レベルでのコレステロール吸収害作用の確認、[C]フェナンスリジノン骨格を有するNPC1L1リガンド活性を含む多重薬理性の分子プロファイリングを中心とした研究を遂行した。[A]項の構造展開研究で得られたNPC1L1リガンドは、いずれも昨年度までにNPC1について明らかにしたのと同様に、NPC1L1のN末ドメインではなく、細胞膜貫通ドメインを含む「第2のコレステロール結合部位」に結合するものであり、知られているコレステロール吸収阻害剤であるでエゼミチブとは標的とする結合部位が異なるものであることが分かった。またそれらは、実際に細胞やマウスのコレステロールの吸収を有意に抑制する活性を示すことを確認した。[C]項の分子プロファイリングについては、設計したフェナンスリジノン誘導体の核内肝臓X受容体(LXR)リガンドとの構造関連性から、LXRに加えて関連する核内受容体(レチノイン酸受容体関連オーファン受容体:ROR、グルココルチコイド受容体:GR、およびレチノイドX受容体:RXR)に対するリガンド活性、ならびにαーグルコシダーゼ阻害活性をそれぞれ検定し解析して、構造要因・構造活性相関に関する一応の解答を得た。
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Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
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