医薬品をナノコロイド化すれば,安定性や持続性が改善される可能性がある。そこで,構造周辺をフッ素やフッ素官能基で覆った有機分子で,カプセル状に医薬品を包み込むことを考えた。有機顔料として知られているフタロシアニンやサブフタロシアニンをカプセル分子として選定し,周辺をフッ素官能基化する手法に取りかかった。その結果,ベンゼン環連結型フタロシアニン―サブフタロシアニンダイマーなどの含フッ素体の合成に成功した。これらは,周辺の溶媒の特性により集合状態に変化が起きることが分かった。また,X線結晶構造解析や分子軌道計算により,カプセル型構造であることがわかった。光線力学的手法による殺ガン活性も測定した。
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