研究課題/領域番号 |
25670067
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
立川 正憲 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00401810)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 輸送 / 血液脳関門 / 認知症 / トランスポーター / 活性化 |
研究実績の概要 |
脳内の脂肪酸プロファイルの変化は、認知症、アルツハイマー病などの中枢性疾患の罹患リスクを増大させることが報告されている。本研究は、ヒト血液脳関門(BBB)モデル細胞(hCMEC/D3細胞)及びin vivoマウスモデルを用いて、記憶の形成に重要な役割を果たす多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸(DHA)のBBB輸送の変動を明らかにすることを目的とした。hCMEC/D3細胞における[14C]DHA取り込み輸送は、細胞外刺激因子の濃度の増加に従って増大した。hCMEC/D3細胞におけるDHAの輸送実体として同定したFatty acid transport protein 1(FATP1)/SLC27A1発現量の変動解析から、刺激因子処理によって細胞膜画分での発現が増加した。細胞免疫染色においても同様に、刺激因子処理によって細胞内のFATP1蛍光シグナルが減弱し、細胞表面部位のシグナルが増強する傾向が示された。さらに、標的タンパク質絶対定量法を用いて、in vivo病態マウスモデルの単離脳毛細血管におけるFatp1の発現変動解析に、一定の目途が付いた。以上の結果から、ヒト脳血管内皮細胞は、刺激因子によってFATP1の細胞膜局在量を増加させ、DHA輸送機能を増加させていることが示唆された。従って、BBBにおけるDHA輸送の賦活化には、脳毛細血管内皮細胞における細胞内情報伝達経路の活性化が方策の一つである可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従い、血液脳関門in vitro輸送評価系を用いて、認知症防御物質の輸送特性に基づき、輸送活性化因子の同定を行った。標的タンパク質絶対定量法を用いて、in vivoマウスモデルにおけるBBB賦活化の分子機構解明に向けて、一定の結果が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、認知症病態モデルを用いたin vivo輸送機能解析を実施するとともに、定量プロテオミクスと連携研究者のケミカルバイオロジーの方法論の融合によって、一層の研究推進を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、in vivo血液脳関門輸送解析に関する当初計画の一部を、次年度に実施することと変更したことにより生じたものである。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に継続して実施するin vivo輸送評価に必要な経費として、平成27年度請求額と合わせて使用する予定である。
|