研究実績の概要 |
平成26年度には、前年度から引き続き「薬剤師が存在しない離島」におけるお薬教室・相談会を行った(2014年5月~11月計11回)。その結果、薬物治療にかかわる相談も増える傾向が見られた。今後は離島の医師と連携し、一次離島や都市部の薬剤師が二次離島住民の OTC や健康食品を含めた薬剤管理を行うシステム構築を推進する。 次に、全国の離島および都市(離島が所属する県の県庁所在地)住民に OTC 薬の使用実態や薬剤師へのニーズ調査などに関するwebアンケート調査を行った(離島:2014年12 月12日~16日、都市部:2015年1月29日~2月3日)。総回答数は、一次離島 1,503件、二次離島 153件、都市部 3,978件であった。その結果、OTC の購入に際しては、地域に関わらずネット購入者は少なく、ドラッグストア・薬店での購入が 90% 以上を占めたが、「誰にも相談せず自分で決める」という回答が半数以上を占めていることが示され、今後 OTC の購入に薬剤師の積極的な介入が必要になると考えられた。さらに、かかりつけ薬剤師を持つ者の割合は少なく[都市部 13.8%(n=3,978)、一次離島 13.6%(n=1,503)、二次離島 8.2%(n=159)]、薬剤師の仕事として最も良く認識されているのは、どの地域でも「医師が処方した薬を患者に渡す」ことであり、「医師が処方した内容が正しいか確認する」「医師の処方に間違いがあれば医師に変更を提言する」への認識は離島住民において低い傾向が見られた。 そこで、薬剤師の職能への理解を高めるために患者向けの小冊子「みんなの薬剤師・みんなの薬」(A5版、33頁)を改良し全域に配付した。本研究期間内に離島・僻地における医薬品適正使用リスクコミュニケーションシステムの構築は行えなかったが、構築のための基礎データを収集することができた。
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