研究課題/領域番号 |
25670071
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 和哉 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (00345258)
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研究分担者 |
升島 努 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, その他 (10136054)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | sandwich培養 |
研究概要 |
本研究では、sandwich培養によって、肝細胞間に胆管腔が効率よく形成され、それゆえ医薬品の胆汁排泄のin vitro評価系として活用されているが、胆管腔を2価イオンをbufferから排除することにより胆管腔を開閉することにより差分として、胆管腔内の薬物量を測定せざるを得ないため、非常に高いbackgroundが胆管腔内の薬物の定量の精度に影響しているのが現状である。本プロジェクトでは、微細空間の薬物量を測定可能なLC-MS/MSシステムを用いることで、直接的に胆管腔内の薬物量を測定することにより、より精度よくin vitroにおいて胆汁排泄される薬物量を測定できる実験系を構築することを目的としている。本年度は、sandwich培養されたヒト肝細胞を用いて、実際にすでに胆汁排泄されることがわかっている薬物数種について、直接胆管腔内の薬物濃度の測定を実施し、感度を調べた。胆管腔の位置を顕微鏡下で明確にするために、胆管腔内に排出される蛍光基質であるCDF-DAをあらかじめ入れておくことで、正確にプローブを胆管腔にガイドすることに成功した。しかしながら、sandwich培養の際に用いられているmatrigelが、微量サンプルを採取する微細プローブの細胞へのアクセスをさえぎっており、以後、matrigelの中を効率よくプローブが進めるよう、ゲル内を通過中は陽圧をかけて胆管腔にいたったときに陰圧に切り替えて採取できるような工夫を執り行った。現時点では、taurocholateおよびrosuvastatinの胆管腔内への排出が確認されているが、今後、濃度依存的な効果などを見るためには、より効率よい胆管腔内の薬物採取のための新しい技術開発が求められ、次年度も継続して研究を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定と反して、sandwich culture時に用いるMatrigelの層が厚いため、胆管腔内の薬物を採取する微細プローブがゲル層に阻まれてしまい、結果として、予想以上に胆管腔内の薬物が取れていないことが考えられたため、当初予定していたよりも、薬物のLC-MS/MSによる測定感度が得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Matrigelの厚みを極力減らすことにより、sandwich培養と同様の極性誘導・トランスポーター発現維持の効用を維持した状況で、かつ、採取プローブがより胆管腔に容易にアクセスできる条件を検討することにより、当初の目的に到達する。 さらには、ゲル内をプローブが通過する際に、陽圧をプローブ内にかけることにより、プローブがゲル内を容易に通過できるよう工夫を行う。すでに一定の効果がありそうだということを示唆するデータを取得済みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ採取にいたるまでの技術開発、特にmatrigelを通過した後に効率よく胆管腔内の薬物を採取するための工夫が予想外に必要であったため、実際の薬物を用いた胆汁排泄に関わるデータ取得が若干遅れているため。 技術的な問題をクリアできそうなさまざまな解決策が考えられ、その一部は効果があることがすでに検証されつつあるので、実験系の構築が終わり次第、当初の予定通りの研究計画に追いつくべく、加速化する予定である。
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