研究課題
薬物輸送研究には薬物トランスポーターを発現させた培養細胞などの発現系が汎用されるが、ヒト個体における発現量とは異なり、また多様なトランスポーターを同時に発現させた生理的条件に近い系の確立は困難である。従って、ヒト腎臓における薬物の尿細管分泌の程度や各トランスポーターの寄与率を、in vitro評価系から予測する方法が確立されているとは言いがたい。医薬品開発において、前臨床試験段階で新規化合物の腎排泄(尿細管分泌)やトランスポーターの寄与率を予測することは重要であるが現状では困難であり、その予測を可能にする新しいin vitro試験系の開発が望まれている。本研究では細胞接着性と増殖分化の関連性に着目し、ヒト腎由来の初代培養上皮細胞等の接着性を調節することによって、上皮細胞の分化や薬物トランスポーターの発現変動を解析し、ヒト個体と同様の発現挙動を示すin vitro試験系を構築することを目的とする。本年度は、細胞の増殖・分化を促進する化合物として近年見いだされたアドヘサミンに着目し、薬物動態研究に汎用される培養腸上皮細胞Caco-2やヒト腎近位尿細管由来HK-2細胞の増殖・分化に及ぼす影響について検討を加えた。その結果、アドヘサミンがこれら細胞の増殖を促進することが示唆された。現在、アドヘサミンがこれらの細胞における薬物トランスポーターの発現量に及ぼす影響について検討している。
3: やや遅れている
研究代表者は平成25年度に現所属に異動し、新しい研究室を立ち上げることとなった。昨年度は研究室のセットアップが中心となり、本年度は研究室に配属された学生の教育に時間を費やしたため、研究目的の達成に遅れが生じているのが現状である。したがって、研究期間を平成27年度まで延長し、研究目的の達成を図ることとした。
本年度より助教が着任し、研究室配属学生も4-6回生で揃ったため、協力して研究を遂行できる体制が確立できたものと考える。
研究代表者は本研究の開始年度である平成25年度に現所属に異動し、新しい研究室を立ち上げたため、研究計画の遂行が遅れており、研究期間を延長した。
研究目的の遂行に必要な試薬等の購入に充てる。
すべて 2015 2014
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Heart and Vessels
巻: 30 ページ: 印刷中
10.1007/s00380-015-0677-x
Hepatology Research
巻: 44 ページ: 685-688
10.1111/hepr.12156
Therapeutic Drug Monitoring
巻: 36 ページ: 310-316
10.1097/FTD.0000000000000025