昨年度に経皮免疫においてアジュバント候補物質であるMPLAとODN1826に高い抗体産生増強効果を認めた。そこで今年度は、両者の経皮アジュバント活性に寄与する細胞および分子の同定、並びにそれらの作用機序の解明に取り組んだ。C57BL/6マウス由来のランゲルハンス細胞 (LC)、真皮樹状細胞 (dDC)にMPLA並びにODN1826を細胞傷害性を示さない濃度範囲内で作用させた時、MHC class I分子の発現が僅かに上昇した。それに対してCD40、CD80、CD86、CCR7、MHC class II分子の発現は大きく増加した。またTNF-α、IL-1β、IL-6、IL-12のサイトカインの産生増強も認められ、TNF-α、IL-1βに関してはMPLAを作用させた場合の方が産生量は多く、IL-12はODN1826を作用させた場合の方が産生量は多かった。一方、TLR4低応答性のC3Hマウス由来のLCやdDCを用いて同様の検討を行った結果、ODN1826を作用させた場合はCD40、CD80、CD86、CCR7、MHC class II分子の発現は大きく増加したが、MPLAを作用させた場合は、それらの発現に変化は認められなかった。さらにC57BL/6マウスとC3Hマウス由来のケラチノサイト(KC)では、ODN1826を作用させることにより、TNF-α、IL-1βならびにIL-6の産生増強が見られた一方で、MPLAを作用させた場合、C57BL/6マウス由来KCにおいてはTNF-α、IL-1βおよびIL-6の産生増加が見られたのに対して、C3Hマウス由来KCにおいては、どのサイトカインについても有意な増強は認められなかった。現在、MPLA並びにODN1826の経皮アジュバント効果についてさらに詳細に検討中である。
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