研究実績の概要 |
本申請者は、ヒト・肝臓におけるステロイド代謝を検討するために、主たるCYPであるCYP3A4含め11種類の肝臓CYPと、Cortisol, Corticosterone, 17aOH-Progesterone (17OH-Prog), Estradiol, Androstenedione (AD), 11-Deoxycortisol, 11-Deoxycorticosterone などを反応させ、HPLCにより生成物の分析を行った。結果、HPLCのクロマト上で多くの有意な生成物が得られたのは、今回はCYP3A4のみであった。例えば、Cortisolからは6bOH-Cortisolのピークが、17OH-prog, 11-Deoxycortisolからは、Cortisolと同様に6b水酸化物と考えられるピートと、さらにそれぞれADと同じ保持時間のピークが得られた。またGC-MSによってもADが生成されていることを確認した。これらの活性は、側鎖切断反応(Lyase activity)であり、CYPとしては、これまで副腎のCYP11AとCYP17のみが報告されている。このことは、肝臓においてステロイド合成経路の一部がなされる可能性が示され、副腎CYP17の欠損の際に考慮すべきことが明らかになった。そこでCYP3A4のAD生成に対するKm, Vmaxを求めた。さらに6b水酸化活性とリアーゼ活性の比較のため、6b-11-Deoxycortisolを合成し、11-Deoxycortisolに対するKm, Vmaxを求め、Lyase activityやCortisolに対する6b水酸化等との比較を行い、CYP3A4の基質認識の検討を行った。
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