研究課題/領域番号 |
25670082
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
小泉 直也 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (80433845)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ターゲティング |
研究概要 |
研究計画で示したように、初年度においては申請者が同定した細胞膜を拡散するウイルスタンパク質の基礎的機能評価として、ウイルスタンパク質と細胞側親和性分子との関係について検討を行った。その結果、ウイルスタンパク質の親和性分子としてこれまで報告されている細胞側分子が、ウイルスタンパク質の細胞膜拡散に必須であること、さらに本分子との結合能を欠損させたウイルスタンパク質は細胞膜への拡散能が欠損されることを確認した。これより、ターゲティングキャリアーとして本ウイルスタンパク質を利用するには、2つの方法が考えられる。1つは、細胞側の分子との親和性を維持し、新たなターゲティング標的分子との親和性を付与する方法、または、細胞側の分子との親和性アミノ酸を改変し、新たな標的分子のみに親和性を持って拡散させる方法がある。後者の方法には、タンパク質の立体構造的な解析が必須と考えられることから、まずは前者の方法でターゲティング能を付与した改変ウイルスタンパク質の創製を試みた。その結果、癌細胞に発現上昇が報告されているαvインテグリンに親和性を持つことが知られているRGD配列を付与したウイルスタンパク質を作製したが、インテグリン高発現細胞への特異的集積は非常に少なかった。このことから、特定の細胞分子へのターゲティング能を付与するには、既存の分子との親和性を減弱させ、より高い親和性を持つターゲティングペプチドの付加が必要であることが明らかとなった。また、担癌マウスでの癌組織中のウイルスタンパク質拡散についても確認できたことから、次年度においては、既存の細胞分子との結合性を減弱させた変異型ウイルスタンパク質の作製、および高い親和性を持つターゲティングペプチドの付与を行い、in vitroおよびin vivoでの機能評価を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ターゲティング能を付与するための変異型ウイルスタンパク質の作製と標的分子への親和性ペプチドの付与については、研究計画当初から課題になると考えていたため、すでに問題解決にむけて検討が進んでいる。初年度の計画はおおむね進展しており、次年度に向けてin vivoでのターゲティング能を証明していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で研究の方向性が明らかになったことから、ターゲティング能を付与した新規ウイルスタンパク質の作製を行う。また、標的分子への親和性を持たせた改変型細胞膜移動タンパク質を用い、in vivo 実験を行うことで、新たなターゲティングシステムの構築が可能であるか検討を行う。in vivo 実験では機能性評価と共に安全性の評価も行う予定であり、マウスとヒトとの違いにも着目しながら有用性の評価を行っていきたい。
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