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2013 年度 実施状況報告書

新規バイオマーカー酸化DJ-1を用いたパーキンソン病の早期診断・早期治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25670084
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関同志社大学

研究代表者

斎藤 芳郎  同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (70357060)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード酸化DJ-1 / パーキンソン病 / 酸化ストレス / モノクローナル抗体 / バイオマーカー
研究概要

平成25年度において本研究では、未治療パーキンソン病患者の赤血球中で検出された酸化DJ-1の蛋白質化学的性質を解明することを主な目的として検討を行った。未治療PD患者から得られた赤血球可溶性画分をゲルろ過で分離し、各画分の競合ELISAから赤血球中に検出される酸化DJ-1の分子量をもとめた。その結果、二量体の酸化DJ-1に相当するフラクションに加えて、高分子画分にも酸化DJ-1が検出された。競合ELISAで検出された画分を、酸化DJ-1抗体によりWestern blot解析したところ、酸化DJ-1に相当するバンドが検出された。高分子画分の酸化DJ-1について、さらに陰イオンクロマトグラフィーによる分画を行い、競合ELISAによる測定を行った。酸化DJ-1が検出された画分を、SDS-PAGEで分離し、蛋白質染色で認められたバンドをプロテアーゼで消化した。得られるペプチドを、質量分析法(LC-MALDI)により解析し、同画分に含まれる蛋白質を複数同定した。今後、免疫沈降法により酸化DJ-1と相互作用する分子を同定する。
脳内に検出される酸化DJ-1について、酸化DJ-1特異的抗体を用いた免疫染色系を構築した。本実験系の特異性は、DJ-1 KOマウスにおける染色像の消失から確認した。マウス脳およびヒト脳切片(中脳・線条体・延髄)について免疫染色を行った。本研究から、正常マウス脳における酸化DJ-1の分布を明らかにした。また、ヒト脳切片については、各組織における酸化DJ-1の分布を明らかにし、パーキンソン病の進行に伴う酸化DJ-1レベルの変化を明らかにした。更に、酸化DJ-1の染色とWestern blot解析が相関するかについて、ヒト脳由来の組織可溶化物を用いて検証し、確認した。免疫染色に関する研究結果については、学術雑誌に投稿し、現在リバイス中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、平成25年度において、未治療パーキンソン病患者赤血球中で認められている酸化DJ-1の蛋白質化学的性質の解析を行った。その結果、二量体構造の酸化DJ-1だけでなく高分子画分にも検出された。酸化DJ-1の高分子化は、リコンビナント酸化DJ-1でも認められている。この高分子化が、酸化DJ-1単独かあるいは他の分子との相互作用を介しているかについて更なる解析から明らかにする予定である。本結果は、パーキンソン病病態における酸化DJ-1の増加メカニズムを理解する上で、重要な知見であると考えられる。さらに抗酸化システムの変化を解析し、パーキンソン病患者で起こっている酸化ストレスを明らかにする。また、DJ-1 KOマウスを用いた解析から、特異性の高い酸化DJ-1の免疫組織染色系を構築することができた。KOマウスで確認がとれた免疫染色系をヒト脳切片にも応用し、パーキンソン病患者における酸化DJ-1の変化を明らかにすることができた。これらの検討課題については、当初の計画よりも進展が見られたと考えている。一方で、酸化DJ-1の効率の良い免疫沈降系の構築に時間を要し、多少研究計画の進行に遅延が見られた。以上の達成状況から、本年度はおおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

本研究では、未治療パーキンソン病患者の赤血球中で検出された酸化DJ-1の蛋白質化学的性質を明らかにし、DJ-1の酸化メカニズムを明らかにして、パーキンソン病の抗酸化治療への展開を目的としている。本年度の検討により、上記課題を遂行する上で重要な知見が得られ、また特異的な免疫染色法、Western blot法の構築ができた。今後、酸化DJ-1と相互作用する分子の同定を進めながら、同時進行で抗酸化系の評価についても遂行し、パーキンソン病患者で起きている酸化ストレスについて詳細な検討を進めていきたい。酸化ストレス状態の理解については困難が予想されるが、各種酸化ストレスマーカーの測定と動物モデルを用いながら研究を遂行していきたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

本研究課題において、設備備品費として、脳内に直接神経毒を投与するPDモデル動物の作成に必要な脳固定装置一式を計上した。内訳は、David Kopf社製model900脳固定具およびドリルである。本年度内に、PDモデル動物を用いた検証まで至らなかったため、次年度に繰り越した。
今年度PDモデル動物を作成する際、同機器の購入について再検討する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Oxidized DJ-1 as a possible biomarker of Parkinson’s disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshiro Saito
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition

      巻: - ページ: in press

    • DOI

      10.3164

    • 査読あり
  • [雑誌論文] パーキンソン病におけるバイオマーカーの現状―マイケルJフォックス財団の取り組み2013

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎
    • 雑誌名

      ファルマシア

      巻: 49 ページ: 870-872

    • 査読あり
  • [学会発表] パーキンソン病関連分子DJ-1の細胞外分泌に及ぼすビタミンEの効果2014

    • 著者名/発表者名
      斎藤芳郎、山本貴之、浦野泰臣、野口範子
    • 学会等名
      第25回ビタミンE研究会
    • 発表場所
      米子
    • 年月日
      20140125-20140125
  • [学会発表] 細胞内および脳内における酸化DJ-1の分布に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      林 宏次朗、斎藤 芳郎、宮坂 知宏、仁木 加寿子、有賀 寛芳、野口 範子
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131204-20131204
  • [学会発表] Oxidation of DJ-1 in the brain of Parkinson disease patients-possible biomarker for diagnosis of Parkinson disease at early stage2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshiro Saito, Tomohiro Miyasaka, Takao Hamakubo, Etsuo Niki, and Noriko Noguchi
    • 学会等名
      Neuro2013
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130620-20130620
  • [学会発表] パーキンソン病関連分子DJ-1の酸化に伴う高分子化およびシステインの役割に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      小林茉佑香、村松香奈、斎藤芳郎、野口範子
    • 学会等名
      第66回日本酸化ストレス学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20130613-20130613
  • [備考] 斎藤芳郎 研究者情報

    • URL

      https://kenkyudb.doshisha.ac.jp/rd/html/japanese/researchersHtml/108016/108016_Researcher.html

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公開日: 2015-05-28  

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