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2013 年度 実施状況報告書

細胞内シグナルの光操作と改良型FRETプローベによる生体内生化学

研究課題

研究課題/領域番号 25670088
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

中田 隆夫  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50218004)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード光スイッチ / 解剖学 / 細胞組織 / シグナル伝達 / 神経科学
研究概要

生化学分子生物学のin vitro研究で様々なシグナルカスケードが提唱されている。そのカスケードが実際の細胞のなかでどのように起こっているか(どういう時間でどのように拡がっていくか)を知ることができれば、大変素晴らしいことであり、それは”in vivo biochemistry”と呼べるだろう。我々は、これを実現するための試みとして、光遺伝学による光スイッチとFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)法を組み合わせて、カスケードの一部を刺激し、下流シグナルの変化を時間空間的に観察する方法の確立を目指すことが本研究の目標であった。
光遺伝学は、植物などにある光受容メカニズムを他の研究にも応用する手法で、シグナル分子を光感受性にすることができる。すでに光感受性人工分子はRac1、CDC42などで作られている(Wu et al., Nature 461,104-8,2009)。我々もPI3Kのスイッチを独自に開発した(Kakumoto & Nakata, 2013)。これらは青色光を当てるとシグナルが活性化し、暗くすると不活性化する。さらに3つの困難が予想されていた。光スイッチは、光のないOFF状態で酵素活性の漏れ(リーク)を最少にすることが第一の困難である。我々は最初に開発されたPA-RAC1、PA-CDC42 も予想外にリークが少ないことが分かった。第3の困難は、シグナル活性化をFRETセンサーで調べることであった。Blue励起は光スイッチのオンオフに使われるので、蛍光蛋白の緑Clover と赤mRuby2を用いた。これらを
試した結果、そのなかでは、すべてにおいて優れている条件があったので、それを以後用いた。以上、当初予想された困難をある程度克服されたため、計画の前倒しが可能となった。今後は実際に生細胞で光スイッチとFRETの関係を精査する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の申請時には以下の項目について研究期間内に何をどこまで明らかにするかを以下のように書いている。
1.CloverとmRuby2の組み合わせのFRET効率、光スイッチ刺激での光の漏れがあるかないか→これについてはClover Rubyの組み合わせより良いものでそれを中心に検討している。
2.PI3Kとほぼ類似した表現型をしたRac1の光スイッチ(既にある)刺激とRac1, Cdc42, RhoAのこれまでのFRETプローベのよい組み合わせに変えたものとで刺激応答を調べる。→現在実験中である。
3.さらに上流にあると考えらえているrasの光スイッチを作製し、刺激応答を測定する。→今後の研究の推進方策参照
以上、1の部分が早く達成したので全体として前倒し状況になった。さらに細胞内拡散の影響についても明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

これらの基礎的データーと測定を行うことで、生物学的に重要な知見を得る。この研究は、大きなくくりでいえば遺伝子の過剰発現実験であるので発現量のコントロールが重要である。今回、我々は細胞各部のアクチン細胞骨格の様子から、つまり、表現型から、アクチンの量がある程度わかる知見を得た。ここで発現量の推定という問題をクリアできる。非刺激時に非活性であれば、一般のトランスフェクションなどと比べて生理的である。ノックアウトマウスが慢性の欠失状態に対してこの方法は急性の過多シグナルで、求める状態が違うのみで、遜色ない実験が可能と考えられた。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画より進展がありFRETプローべが完成したため、細胞を使った実験を前倒して進めることになった。それに伴い、実験消耗品、動物の経費や、細胞観察のためのレーザー顕微鏡消耗品の交換が早まる可能性が出てきたため前倒し支払請求を行った。
しかし、最も高額な顕微鏡消耗品であるレーザーチューブを25年度中は交換せずに済んだため、次年度に使用することとなった。
これまでの予定通り、実験消耗品、動物の経費、レーザー顕微鏡消耗品に充てる。

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公開日: 2015-05-28  

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