研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、「マイクログリアはストレスホルモンの受け皿となり、大脳の成育に関わり、PTSDなどで見られる脳の器質的変化の責任細胞である」との仮説に基づき、その是非を検討することを目的とする。平成25年度は、引き続き平成26年度も実施する前提のもと、以下の実験を実施した。実験(1)正常動物において、マイクログリアの働きを抑制し、大脳皮質発達変化と脳の活性度を観察する。反対にマイクログリアを活性化し、大脳皮質発達変化と脳の活性度を観察する。マイクログリアには非活性化状態と貪食作用を活発に行う活性化状態が存在する。その活性度を変化させ、特に、マイクログリアがpruningと神経幹細胞数に影響があるとされることより、callosal axonの投射様式などを指標に大脳皮質発達への影響を検討する内容である。本年度は、これら実験の基礎実験、なかでも特にcallosal axonの投射様式が検討できうるかどうかについて詳細に検討し、十分に指標として用い得ることを確認した。実験(2)マイクログリアの動態を検討した。本研究ではストレスホルモン(ステロイドホルモン)を投与し、マイクログリアの動態を検討する予定であり、それに先立ち、Iba1などのマイクログリアに対する抗体を用いた免疫組織化学法にてマイクログリアの状況を観察した。特に、マイクログリアは活性化により形態が大きく変化するので、形態を指標とし、その様子が観察可能かについて検討を進め、観察可能であることを確認した。
3: やや遅れている
本来であれば、ストレス状況下でのマイクログリアの動態変化を観察・検討する予定であった。本年度は研究代表者が所属機関を移動した。それにあわせ移動元および移動先での研究室の再編、研究機器の移動、実験動物が使用に関する諸手続きの申請、認可待ちなどの想定外の事柄があり、数か月にわたり当初の予定したペースで実験ができなかった。それ故、当初の予定より実験が遅れた。
現在、研究代表者の移動先において研究室の整備も終わり、研究環境が整い、円滑な実験実施が可能となっている。今後、研究計画に従い、実験を展開する。特に、マイクログリアの動態については、予備実験は終了しているため、精力的に研究を推進する。
本年度は、年度半ばで研究代表者が所属研究機関を移動した。それ故、一時的に研究遂行が困難となり、その間に予定していた実験が遂行できず、次年度使用額が生じた。平成26年度は、実験環境の整備も終わったため、精力的に実験を進める。次年度使用額は平成26年度所要額とあわせ使用する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 8件)
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