研究課題/領域番号 |
25670101
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
片貝 智哉 関西医科大学, 医学部, 講師 (00324682)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リンパ節 / ストローマ細胞 / ケモカイン / CCL21 / 発現制御 |
研究概要 |
免疫応答の誘導に不可欠なT細胞と樹状細胞による抗原特異的接触が起こるリンパ節の傍皮質領域は、ケモカインCCL21を産生する特殊な間質ストローマ細胞である細網繊維芽細胞(FRC)のネットワークにより支持されており、免疫システムの時空間的、機能的な中心としての役割を担う。この傍皮質FRCの発達とCCL21産生に至る分子機序は、通常の免疫応答のみならず、さまざまな病態形成との関連からも極めて重要な問題であるといえる。本研究はその分子過程の解明に向けた基盤づくりを進めることを目的としている。 マイクロアレイ解析によりマウスのリンパ節ストローマ細胞に高発現することが明らかになっている転写制御因子/細胞内タンパク質遺伝子をストローマ細胞株に強制発現させるため、それらの遺伝子についてリンパ節より単離したストローマ細胞cDNAからPCR法により増幅し、クローニングを行なった。また、それらを哺乳類細胞発現プラスミドベクターやレトロウイルスベクターに組込み、一般的な遺伝子導入法もしくはレトロウイルスを用いた感染導入法により安定導入株を得ることができている。一部の細胞株については、腫瘍壊死因子TNFαやリンフォトキシンなどの炎症性サイトカインの刺激を加えた場合におけるCCL21を含む種々のケモカイン遺伝子誘導を評価し、炎症性ケモカインに関しては対照群と比較して変化が認められるものがあった。さらに、リンパ節のストローマ細胞構造を詳細に観察することが可能な新規マーカーを複数見出し、今後、組織構造の評価の手段がさらに充実した。一方、リンパ節のストローマ細胞において誘導的に遺伝子改変を行なえるマウス系統の作製を試み、いくつか有望な系統ができつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ節ストローマ細胞cDNAからの特定遺伝子のクローニングおよびストローマ細胞株への遺伝子導入に関しては、これまでの行なってきた手法を用いることにより、大きな問題もなく進めることができている。また、組織構造観察のための新たなマーカーの発見や遺伝子改変マウスの作製などについても、順調に成果が得られている状況で、全体としてほぼ計画どおりに研究が進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ストローマ細胞株においてさまざまな条件の組み合わせによりCCL21発現誘導を試み、それに成功した場合には、必要最小限の因子を絞り込みながら、できる限り再現性が高く、より簡便な方法への改良を進める。その上で、CCL21遺伝子座のプロモーター領域と予想される部分について重点的にレポーターアッセイ等を行い、発現調節領域を決定する。さらに、クロマチン免疫沈降(ChIP)法やゲルシフトアッセイにより、それらの領域に目的の転写制御因子が結合するかどうかを検討するとともに結合部位の配列を決定する。また、マウスゲノムCCL21遺伝子座のタンパク質コード領域を蛍光タンパク質遺伝子に置換えたノックインマウスを作成し、生体内におけるCCL21発現細胞の挙動を追跡するモデル系の構築を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品購入の際の端数のため 次年度消耗品費として使用
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