研究課題/領域番号 |
25670105
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 雄介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (80611079)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 微小循環 / 血管新生 / 人工心臓 / 拍動流 / 顕微鏡 |
研究概要 |
臨床応用が広まりつつある人工心臓には、その駆動方式として拍動流と連続流の2種類が存在するが、どちらが循環生理学的に生体に適しているか、もしくは問題があるかが明らかになっていない。自然の血流ではない連続流で駆動しても大血管系では大きな影響はみられないが、肺や微小循環などの、血液の主たる機能であるガス交換部位における影響は未解明である。これまで拍動流と連続流のどちらも駆動できる人工心臓が存在せず、長期間観察可能な顕微鏡もなかったため研究はすすめられなかったが、我々は拍動流・連続流のどちらも駆動可能な完全人工心臓すでに開発済みである。そこで長期安定的に微小循環を観察できる顕微鏡を開発し、それらを用いて脈のない血流が生体へ与える影響を明らかにすることが本研究の目的である。そこで本年度は微小循環観察装置の開発を行い、その後人工心臓を装着した動物の血流駆動様式を変更し、微小循環への影響を観察する実験的研究である。これまでなし得なかった、観察の安定性の確保と麻酔等の外乱抑制という条件を満たすために、観察装置内に血管を新生させる機構を組み込む。初年度は高解像度の微小循環観察装置の独自開発を行った。当初は市販の体内内視鏡を購入予定であったが、自作のデバイスは早く完成したため、市販品の購入は見送った。最初の動物実験において足場材料を組み込んだ内視鏡カメラを用いて、基本的な問題点・改善点を洗い出しができた。視野サイズと倍率の排反関係が生じたが、複数の倍率を持つデバイスを作製することで解決のアプローチをみた。動物実験を3度行い、体内観察デバイスの基本的な完成を見た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管誘導可能な高解像度観察装置の開発に関しては、当初の予定よりも早く進み、良好な結果を得た。早期に動物実験を実施できたこともあり、早く問題点の洗い出しと、改良を実施することができた。一方で完全人工心臓との組み合わせに関しては、人工心臓の装着動物が長期生存する必要があるため、来年度に良好な結果を得られるよう動物実験の回数を多く取る必要がある。人工心臓を装着しない状態の薬物による循環血液量を増減させる実験、運動負荷を科す実験、循環系に作用する薬剤を投与した実験などは本研究で開発した微小循環観察デバイスのみで実験可能であるため、微小循環観察は今後も継続して順調に推移する見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
完全人工心臓との組み合わせに関しては、人工心臓の装着動物が長期生存する必要があるため、来年度に良好な結果を得られるよう動物実験の回数を多く取る必要がある。人工心臓を装着しない状態の薬物による循環血液量を増減させる実験、運動負荷を科す実験、循環系に作用する薬剤を投与した実験などは本研究で開発した微小循環観察デバイスのみで実験可能であるため、微小循環観察は今後も継続して順調に推移する見込みである。足場に生えた組織血管に加え、他の血管系・肺・腎臓・肝臓・肝臓・脾臓・筋肉・脳等を採取し、肉眼・光顕・電顕(走査・透過)で観察する。部位によって各種染色(HE・免疫等)を行い観察する。特に肺や腎臓は代謝系に密接に関係すると考えられるため、今年度は生化学的な評価を加えて実施する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
基金化されたため。デバイス開発が計画よりも順調に進んだため、物品購入費を削減できたため。 動物実験をより多く行い、研究成果を予定より高く得られる様にする。
|