研究課題
臨床応用が広まりつつある人工心臓には、その駆動方式として拍動流と連続流の2種類が存在するが、どちらが循環生理学的に生体に適しているか、もしくは問題があるかが明らかになっていない。自然の血流ではない連続流で駆動しても大血管系では大きな影響はみられないが、肺や微小循環などの、血液の主たる機能であるガス交換部位における影響は未解明である。これまで拍動流と連続流のどちらも駆動できる人工心臓が存在せず、長期間観察可能な顕微鏡もなかったため研究はすすめられなかったが、我々は拍動流・連続流のどちらも駆動可能な完全人工心臓すでに開発済みである。そこで長期安定的に微小循環を観察できる顕微鏡を開発し、それらを用いて脈のない血流が生体へ与える影響を明らかにすることが本研究の目的である。そこで本年度は微小循環観察装置の開発を行い、その後人工心臓を装着した動物の血流駆動様式を変更し、微小循環への影響を観察する実験的研究である。これまでなし得なかった、観察の安定性の確保と麻酔等の外乱抑制という条件を満たすために、観察装置内に血管を新生させる機構を組み込む。初年度に高解像度の微小循環観察装置の独自開発が完了していたため、動物実験において足場材料を組み込んだ内視鏡カメラを用いて、基本的な問題点・改善点を洗い出しができた。視野サイズと倍率の排反関係が生じたが、本年度で3段階の倍率を持つデバイスをそれぞれ作製することで背反条件の解決を試みた。これまでに動物実験を7度行い、体内観察デバイスの基本的な完成を見た。これまでのデバイスではなしえなかった、安定した視野と長期的連続観察を実現した。さらに倍率と視野を両方確保するためのデバイスを開発した。動物実験の成果としては、薬剤・運動・人工心臓の駆動条件の違いによる微小血管の挙動を連続的に観察し、体内埋込型の微小循環観察デバイスとして必要十分な機能を得た。
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J Artif Organs
巻: 18 ページ: online
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