研究課題
研究成果の概要(和文):QT延長症候群type1型患者と健常者のTリンパ球からiPS細胞を樹立し、これらのLQT1型iPS細胞と健常者由来iPS細胞を心筋へ分化誘導した。心筋分化誘導の原理としてはヒトES細胞で確立した2段階の分化誘導法を用いた。分化誘導心筋を用いて、RT-PCRおよび免疫染色法による未分化マーカーの測定、心筋分化マーカーの測定を行った結果、Nkx2.5, MYH6, KCNQ1, TBX5, TNTおよびKCNH2の発現を認め、心筋への分化誘導が完了していることを確認した。さらに、パッチクランプ法を用いて、拍動する心筋に対しての電気生理学的特性の解析を行い、健常者由来iPS細胞からの分化心筋と比較検討した。自動能性活動電位を測定したところ、最大拡張電位には差が無いが、活動電位持続時間の有意な延長を認めた。そこで、活動電位持続時間の延長のイオン電流機序を検討したところKvLQT1電流であるIKS電流は予想通りにLQT1型iPS細胞由来心筋で有意に減少していた。一方で、Na+電流ならびに、Ca2+電流に関しては両群間で差を認めなかった。次に特殊心筋を選別採取するためにヒトHCN4遺伝子の発現制御領域にEGFP遺伝子が発現するように、HCN4のエクソン1を含むBACの転写領域にEGFP遺伝子を挿入した改変ヒトHCN4-BACベクターを作製した。作業心筋を選別採取するためにゲノム編集を用いてヒトMLC2Vの転写制御下にmCherryが発現するベクターを予備実験としてヒトES細胞に本ベクターを導入した。これらのベクターをヒトES細胞に導入し、特殊心筋と作業心筋を選別採取できるヒトES細胞を樹立し、心筋分化誘導により特殊心筋と作業心筋を選別採取することに成功した。
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Pacing Clin Electrophysiol.
巻: 37 ページ: 853-863
. doi: 10.1111/pace.12360.