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2013 年度 実施状況報告書

膵島再生を規定する局所ニッチ環境の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25670116
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関千葉大学

研究代表者

三木 隆司  千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50302568)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード糖尿病 / 膵島 / 再生 / インスリン
研究概要

糖尿病は膵β細胞から分泌されるインスリンの不足やインスリンの作用障害によって発症する。糖尿病患者では膵β細胞量(膵島量)が減少しており、減少した膵島量を回復させる再生治療は糖尿病の根治治療となり得る。しかしながら、膵島量の調節機構は多くが不明であり、有効な膵島再生法も確立されていない。我々は、膵β細胞傷害後に再生が起こる膵島再生マウスを作製し、膵島量の変化を詳細に解析したところ、正常個体では膵島量は極めて一定であることが示された。膵島量を約5分の1に減少させると、その後急激な膵島再生が起こるものの、約2分の1まで再生すると再生速度は急激に遅くなることを見いだした。さらに、野生型マウスから単離した膵島を膵島再生マウスに移植すると膵島再生が明らかに減弱することを発見した。そこで本研究では膵島量の減少がどのような因子を介して感知され、どのような細胞の増加により膵島再生が起こるのかを解析している。本年度は、膵島内の一部の細胞が活発な細胞分裂を起こし、膵島量が増加することを発見した。さらに、膵島再生マウスへの膵島移植の代わりに過剰なインスリンを投与することによっても膵島再生が抑制された。以上の結果からインスリンあるいは残存膵島の仕事量の増加が膵島再生を促進していることが示された。さらに、膵島再生マウスの再生膵島を単離し、種々の分子発現を定量解析し、膵島再生時に発現が変化する遺伝子群の抽出を進めているとことである。今後、これらの分子の経時的な発現の変化や発現制御を解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の実験から、膵島量が個体レベルで感知されインスリンあるいは膵島細胞の仕事量を介して再生が規定されていることが示された。また、膵島に増殖の盛んな細胞群が含まれていることを直接的に証明でき、本研究の重要課題の解析に入ったところである。膵島量の感知および膵島再生を担う細胞の解析という2つの課題で、明白な研究の進展がみられており、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

膵島再生が比較的少数の細胞の増殖によることが示されたので、今後はこの細胞の同定と特性の解析に進みたい。また、膵島制御の遺伝子解析にはレーザーマイクロダイセクションの手法が必要である。しかし今回使用できた機器は年式が古く、解析に適した試料を収集することが極めて困難であった。従って、新しいレーザーマイクロダイセクションの機器を共同研究で使用させていただく相談を進めている。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Refeeding with a standard diet after a 48-h fast elicits an inflammatory response in the mouse liver.2013

    • 著者名/発表者名
      Oarada, M., Miki, T., Kohno, S., Sakai, K., Nikawa, T., Yoneyama, M., Gonoi, T.
    • 雑誌名

      J Nutr Biochem

      巻: 24 ページ: 1314-1323

    • DOI

      doi: 10.1016/j.jnutbio.2012.10.006.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cephalic phase insulin secretion is KATP channel-independent.2013

    • 著者名/発表者名
      Seino, Y., Miki, M., Fujimoto, W., Lee, EY., Takahashi, Y., Minami, K., Oiso, Y., Seino, S.
    • 雑誌名

      J Endocrinol

      巻: 218 ページ: 25-33

    • DOI

      doi: 10.1530/JOE-12-0579.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A case of Type 1 diabetes with nocturnal hypoglycemia after desensitization therapy for insulin allergy.2013

    • 著者名/発表者名
      Kitamoto, T., Sakurai, K., Tachibana K., Yokoh H., Ishikawa, K., Miki, T., Yokote K.
    • 雑誌名

      Diabetes Care

      巻: 36 ページ: 89-89

    • DOI

      doi: 10.2337/dc12-2591

    • 査読あり
  • [学会発表] VEGFシグナル阻害はSDTラットにおけるβ細胞傷害と糖尿病発症を抑制する

    • 著者名/発表者名
      向英里、太田毅、河村治清、李恩瑛、森田亜州華、笹瀬智彦、稲垣暢也、岩永敏彦、三木隆司
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本
  • [学会発表] インスリン受容体変異マウスの高脂肪食感受性糖尿病発症のメカニズム

    • 著者名/発表者名
      李恩瑛 櫻井健一 戸田知得 箕越靖彦 三木隆司
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本
  • [学会発表] 高脂肪餌により糖尿病を発症する変異インスリン受容体ノックインマウスの肝臓における遺伝子発現

    • 著者名/発表者名
      櫻井健一、李恩瑛、橘香穂里、石川耕、三木隆司
    • 学会等名
      第56回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      熊本
  • [学会発表] Unsuppressed Lipolysis in Adipose Tissue by Insulin Is Critical for Glucose Homeostasis under High Fat Diet

    • 著者名/発表者名
      Lee, E-Y., Sakurai, K., Toda,C., Minokoshi, Y., Miki, T.
    • 学会等名
      49th EASD Annual Meeting
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
  • [学会発表] Dynamic regulation of metabolite flow between adipose tissues and liver by insulin

    • 著者名/発表者名
      Miki, T.
    • 学会等名
      第91回日本生理学会
    • 発表場所
      鹿児島
  • [図書] ギャノング生理学 原書24版、「肝臓の輸送機能と代謝機能」2014

    • 著者名/発表者名
      三木隆司
    • 総ページ数
      860
    • 出版者
      丸善出版株式会社
  • [図書] イオンチャネル病の全て.「ATP感受性K+チャネルと疾患」2013

    • 著者名/発表者名
      三木隆司
    • 総ページ数
      100
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社
  • [備考] 代謝生理学ホームページ

    • URL

      http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/physiol/index.html

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公開日: 2015-05-28  

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