研究課題
挑戦的萌芽研究
体温は生体の恒常性維持において最も重要な因子の一つであるが、その分子レベルでの調節機構については未だ不明な点が数多く残されている。申請者らは、ショウジョウバエの温度選択行動を指標にした分子遺伝学的手法を駆使することにより体温調節に関わる分子群の同定を進めている。その過程で、共生細菌の有無により温度選択行動が大きく変化することを見出した。本年度は、温度選択行動に影響を及ぼす共生細菌を同定すべく、1)様々な遺伝的背景(系統)のショウジョウバエについて、共生細菌叢の温度選択行動に及ぼす影響を明らかにし、2)新たに導入された次世代シークエンサーを用いて、各系統のショウジョウバエの腸内共生細菌叢のメタゲノム解析を行い、さらに3)共生細菌の単離培養を試みた。その結果、本研究室で同一飼育環境において維持しているショウジョウバエ系統によっても、共生細菌叢が大きく異なり、また未同定の特異な細菌の共生が認められる系統も見出された。
2: おおむね順調に進展している
様々な系統において、共生細菌の有無により温度選択行動が強く影響を受けることを明らかにした。また、特定の遺伝的背景の系統では共生細菌が温度選択行動に影響を及ぼさないことも見出した。新たに導入された次世代シークエンサーの解析法を確立し、本研究室で維持しているショウジョウバエ系統の幼虫および成体に共生する細菌叢について16S rRNAのV1およびV2領域における配列のメタゲノム解析を行うことにより、ショウジョウバエ系統間での腸内細菌叢の多様性を明らかにした。また、これまでに同定されていない南氷洋の低温菌と相同性を有する新種の菌を有する系統も明らかとなり、本年度の研究目標は順調に達成された。
従来の研究では、好気的条件下での培養によりショウジョウバエ共生細菌の単離培養が行われているが、本研究では嫌気的条件下での培養も駆使して、共生細菌の単離とその体温調節行動に及ぼす影響を詳細に解析する計画である。
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http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/umeda-lab/