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2013 年度 実施状況報告書

環境ガス早期警告系としてのTRPA1チャネルの役割

研究課題

研究課題/領域番号 25670121
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関鹿児島大学

研究代表者

桑木 共之  鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80205260)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード環境有害物質 / 忌避行動 / 睡眠・覚醒 / TRPA1 / 低酸素 / 高酸素 / 感覚神経 / 三叉神経
研究概要

Transient Receptor Potential (TRP)イオンチャネルの1つであるTRPA1チャネルが環境ガス中に含まれる高酸素・低酸素および有害物質のセンサーとして働き、これらを体内に取り込んでしまう前に忌避行動や呼吸変化を引き起こす早期警告系として役立っているのではないかという仮説を検証することが本研究の目的である。
H25年度は、ホルマリンやわさびの刺激成分などの有害物質のセンサーとしてTRPA1が役立っていることを、TRPA1欠損マウスと対照野生型マウスとの行動・生理比較によって立証した。具体的には、TRPA1欠損マウスは有害物質に対して忌避行動を取らず、有害物質や低酸素刺激による睡眠からの覚醒時間が延長していることが明らかになった。この異常は野生型マウスの鼻腔内にTRPA1ブロッカーを投与することによって再現できたので、感覚神経の中でも特に鼻腔内三叉神経に分布するTRPA1が重要であると推測された。また、鼻腔内三叉神経に実際にTRPA1が存在していること、ならびに有害物質刺激による三叉神経の活性化がTRPA1欠損マウスではほとんど消失していることも確認した。すなわち、先行する試験管内実験結果から推測されていたTRPA1の低酸素および有害物質のセンサーとしての役割を、生体内でも実証することができ、仮説は正しかった事が証明された。更に、鼻腔内の三叉神経が重要であるという新たな発見もすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画通りの実験が遂行できただけでなく、発展した内容(三叉神経の関与)にまで踏み込んだ研究に進展し、更にその成果を学術誌に掲載することができた(Scientific Reports 3:3100)。

今後の研究の推進方策

低酸素および有害物質を入力として行動や覚醒状態を出力とする反応系にTRPA1が重要であることが確認できたので、H26年度は別の出力として呼吸出力調節におけるTRPA1の役割を検討する。また、TRPA1刺激から行動・生理変化に至るまでの脳内神経回路を探索する予定である。

次年度の研究費の使用計画

少額のため、次年度に使用する事とした。
物品費(消耗品費)として使用する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 三叉神経のワサビ受容体による危機回避2014

    • 著者名/発表者名
      米満亨、桑木共之
    • 雑誌名

      日本生理学雑誌

      巻: 76(1) ページ: 11

  • [雑誌論文] TRPA1 detects environmental chemicals and induces avoidance behavior and arousal from sleep.2013

    • 著者名/発表者名
      Yonemitsu T, Kuroki C, Takahashi N, Mori Y, Kanmura Y, Kashiwadani H, Ootsuka Y, Kuwaki T.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 3 ページ: 3100

    • DOI

      10.1038/srep03100

    • 査読あり
  • [学会発表] 軽度低酸素刺激による覚醒と呼吸促進にはTRPA1が必要である2014

    • 著者名/発表者名
      桑木共之
    • 学会等名
      第91回日本生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20140316-20140318
    • 招待講演
  • [学会発表] TRPA1は三叉神経を介して環境侵害刺激を警報する2013

    • 著者名/発表者名
      米満亨、高橋重成、森泰生、田代章悟、上村裕一、桑木共之
    • 学会等名
      日本ペインクリニック学会第47回大会
    • 発表場所
      大宮
    • 年月日
      20130713-20130715
  • [学会発表] 環境早期警報装置としてのTRPA1 チャンネル2013

    • 著者名/発表者名
      桑木共之、米満亨、黒木千晴
    • 学会等名
      第19 回 日本行動神経内分泌学研究会全国集会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20130705-20130707
  • [学会発表] Transient receptor potential ankyrin 1 alarms diverse inhalation stimuli in mice.2013

    • 著者名/発表者名
      Yonemitsu T., Takahashi N., Mori Y., Kanmura Y., Kuwaki T.
    • 学会等名
      EuroAnesthasia 2013
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 年月日
      20130601-20130604
  • [学会発表] Contribution of TRPA1 to arousal and respiratory response to hypoxia.2013

    • 著者名/発表者名
      Kuroki C., Yonemitsu T., Kanmura Y., Kuwaki T.
    • 学会等名
      EuroAnesthasia 2013
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 年月日
      20130601-20130604
    • 招待講演
  • [学会発表] 低酸素に対する覚醒および呼吸調節における TRPA1の関与2013

    • 著者名/発表者名
      黒木千晴、米満亨、上村裕一、桑木共之
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第60回学術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20130523-20130525
    • 招待講演
  • [学会発表] Avoidance of environmental gas irritants mediated by TRPA12013

    • 著者名/発表者名
      Toru Yonemitsu, Nobuaki Takahashi, Yasuo Mori, Yuichi Kanmura, Tomoyuki Kuwaki
    • 学会等名
      Experimental Biology 2013
    • 発表場所
      Boston, USA
    • 年月日
      20130420-20130424
  • [備考] 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 統合分子生理学分野ホームページ

    • URL

      http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~physiol1/

  • [備考] 日本生理学会 サイエンストピックス86:三叉神経のワサビ受容体による危機回避

    • URL

      http://physiology.jp/exec/page/stopics86/

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公開日: 2015-05-28  

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