研究概要 |
本年度は、ウロテンシンII受容体の機能調節に重要な役割を担うRGSタンパク質分子種を検討するために、まず、R4ファミリーのRGSタンパク質であるRGS1, RGS2, RGS3, RGS4, RGS5, RGS8, およびRGS16について、ウロテンシンII受容体シグナル抑制効果を比較し、抑制効果の強いRGS蛋白質分子種を検討した。 そのために、ヒトウロテンシンII受容体の動物細胞発現用プラスミドを作製し、これを用いてウロテンシンII受容体を安定に高発現する培養細胞株を作製した。この細胞に、R4ファミリーのRGSタンパク質、RGS1, RGS2, RGS3, RGS4, RGS5, RGS8, およびRGS16を同程度の発現量になるように一過性に発現させ、ウロテンシンIIに対する細胞内カルシウム応答を指標として、これらのRGSタンパク質のウロテンシンII受容体シグナル抑制効果を比較した。その結果、RGS2, RGS3, およびRGS8が、RGS1, RGS4, RGS5, RGS16よりも抑制効果が強いと思われた。 この結果は、アンジオテンシンII受容体シグナルに対するRGSタンパク質の抑制効果のパターンと類似していたが、その選択性は、アンジオテンシンIIの場合のほうがより明瞭であると思われた。 また、その強い抑制活性を担う分子内部位を特定するために、各種RGS変異体やキメラRGSの効果を検討中である。さらに、ウロテンシンII受容体シグナルを抑制するRGS機能におけるscaffoldタンパク質の関与を検討するために、スピノフィリンの関与を検討中である。
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