平成25年度には、ウロテンシンII受容体の機能調節に重要な役割を担うRGSタンパク質分子種を検討するために、まず、R4ファミリーのRGSタンパク質であるRGS1、RGS2、RGS3、RGS4、RGS5、RGS8、およびRGS16についてウロテンシンII受容体シグナル抑制効果を比較し、抑制効果の強いRGSタンパク質分子種を検討した。ヒトウロテンシンII受容体を安定に高発現する培養細胞に、RGS1、RGS2、RGS3、RGS4、RGS5、RGS8、およびRGS16を同程度の発現量になるように一過性に発現させ、ウロテンシンIIに対する細胞内カルシウム応答を指標として、これらのRGSタンパク質のウロテンシンII受容体シグナル抑制効果を比較した。その結果、RGS2、RGS3、およびRGS8が、RGS1、RGS4、RGS5、RGS16よりも抑制効果が強いことが明らかになった。アンジオテンシンII受容体シグナルに対するRGSタンパク質の抑制効果についても、その選択性は同様であり、アンジオテンシンIIの場合のほうがウロテンシンIIの場合よりもさらに明瞭に認められた。 平成26年度には、その強いGPCR情報伝達抑制活性を担う分子内部位を特定するために、RGS2、RGS3、およびRGS8のRGSドメインのみからなる変異体やキメラRGSの効果を検討した。その結果、RGS2の強いGPCRシグナル抑制活性には、RGS2のN末端部分の構造が必須であるのに対し、RGS3とRGS8では、ドメインそのものに強い抑制活性があること、さらに、RGS8のドメイン部分が強い抑制効果を発揮するためには、ドメイン中一番C末端側のエクソンに相当する部分に非常に重要な意味があることが明らかになった。
|