本研究では、TGFβ1蛋白と結合して中和抗体様に作用を阻害する低分子化合物の開発に向けた萌芽的検討を行った。TGFβ1蛋白のII型受容体との結合部位全域、結合部位の狭い窪み、受容体結合部位とは異なるアロステリック部位、の三箇所と仮想化合物との結合親和性を計算し、各々への結合親和性が高い化合物の実際のTGFβ1阻害効果を、肺癌細胞株A549の上皮間葉移行を指標に検討した。その結果、アロステリック部位と親和性が高い化合物が阻害作用を示す確率が最も高く、この領域を標的として中和抗体様低分子化合物が開発できる可能性が考えられた。
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