研究課題/領域番号 |
25670130
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森本 幸生 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50202362)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心不全 / 心肥大抑制 / GSK3β / 拡張型心筋症 / ノックアウトマウス |
研究実績の概要 |
セレコキシブはCOX2選択的阻害作用を持ち血栓形成を促進する可能性があるため、心不全の予後を悪化させるリスクが危惧されている。それに対して、ジメチルセレコキシブはセレコキシブと同様にAktを阻害することでGSK3β活性を高めるがCOX2阻害作用をもたないため心血管イベントの発生リスクを高めることなく心肥大を抑制し心不全の予後を改善することが期待されている。そこで、本年度は心筋トロポニンTΔK210突然変異による拡張型心筋症ノックインマウスモデルを用いて、末期心不全に対するセレコキシブとジメチルセレコキシブの治療効果を比較検討した。セレコキシブとジメチルセレコキシブの経口摂取は予想に反してどちらもこの末期心不全モデルの予後を有意に改善せずむしろ悪化させる傾向がみられた。 また、心不全におけるGSK3βの役割を明らかにするため心筋トロポニンTΔK210突然変異による拡張型心筋症ノックインマウスモデルとGSK3βノックアウトマウスを交配することで、心不全に対するGSK3βノックダウンの影響を検討した。こちらも予想に反してGSK3βノックダウンは心筋層間質線維化とともに心機能低下を抑制した。 以上の結果は、GSK3β活性化による心肥大抑制は心不全に対して必ずしも有益ではなく、むしろその抑制による心肥大促進が有益である可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予想とは異なる結果が得られているが、本研究の目的である心不全発症におけるGSK3βの役割が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
セレコキシブとメチルセレコキシブ投与実験および拡張型心筋症ノックインマウスにおけるGSK3βノックダウンにおける検体数をさらに増やして本年度得られた結果を検証するための信頼性の高いデータを収集する。。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に使用する予定であったものが年度をまたいでしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度すぐに使用する予定である
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