リボソームは、核小体において RNA ポリメラーゼ I によって合成されたリボソーム RNA (rRNA)と、細胞質 で合成されて核内に運ばれたリボソーム蛋白質より、核小体で組み立てられる。増殖細胞では転写の 50%は rRNA 合成に費やされているように、細胞はリボソーム合成に多くのエネルギーを消費している。 低栄養や DNA 傷害、低酸素・活性酸素暴露等に際し、細胞は速やかにリボソーム合成を停止し、そして 核小体構造は崩壊する。この現象は「核小体ストレス」と呼ばれ最近注目されるようになった。本研究で はまず、核小体を単離し、rRNA 転写を無細胞系で解析するアッセイ系および核小体崩壊を解析するアッ セイ系を構築し、それらを用いて核小体ストレスの分子メカニズムを解明することを目的とする。このよう なアプローチは世界的にも報告がなく、本分野を画期的に前進させるものとなろう。本研究ではrRNA定量法を構築し、さらに無細胞解析系の構築を目指した。しかし、未だ常に安定した結果を得る解析系にまでは至らず、改良を行っている。さらに、核小体に局在する低分子量G蛋白質RabL10およびRabL11Lを精製し、アフィニティ法にて結合候補蛋白質を精製・同定した。現在、核小体ストレスへの関与を解析中である。
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