研究課題
タンパク質のユビキチン化は、時空間特異的な翻訳後修飾の一種で、ユビキチン分子間の結合様式によってタンパク質分解、DNA修復、シグナル伝達、エンドサイトーシスなど多彩な細胞機能を制御する。我々は、ユビキチンのN末端Met1を介する新規「直鎖状ポリユビキチン鎖」を生成するユビキチンリガーゼ(LUBAC)を同定し、LUBACが炎症や免疫応答に重要な転写因子であるNF-κBシグナル経路の活性化を特異的に導くことを見いだした。LUBACの機能不全は癌、自己免疫疾患、炎症性疾患など多くの病態発症に関連する。さらに我々は、脱ユビキチン化酵素であるA20は、7番目のZnフィンガー(ZF7)領域を介して直鎖状ユビキチンに特異的に結合することでLUBAC活性を抑制すること、その機能不全がB細胞リンパ腫発症に関連することを示した。現在のところ、直鎖状ユビキチン鎖特異的プローブとして利用できるセンサーは、A20 ZF7に加えてNEMOのUBANドメイン、HOIL-1LのNZFドメインの3種である。そこで本研究で我々は、これらの直鎖状ユビキチン特異的認識ドメインをセンサープローブとして用い、アルファスクリーン法によって直鎖状ユビキチン鎖とA20 ZF7を用いて、相互作用解析法の構築を行った。さらに、その結合を抑制する物質を、9600種の化合物ライブラリーから探索し、濃度依存的に阻害活性を示す化合物を複数種選択した。
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