研究課題/領域番号 |
25670139
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
清水 重臣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70271020)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オートファジー / Atg5非依存的オートファジー |
研究概要 |
オートファジーは、リソソームを利用し、自己構成成分を大規模に分解するマシナリーである。このマシナリーは、新陳代謝や細胞浄化などに貢献しており、細胞の営みの基盤となっている。即ち、オートファジーは生理的、病理的に非常に重要な細胞機能である。しかしながら、生体においてオートファジーを可視化する技術は充分でなく、個体の中での生物学的な役割を充分に解明するには至っていない。 オートファジーには、広く研究されているAtg5に依存したオートファジーと、我々が発見したAtg5非依存的オートファジーが存在する。前者のオートファジーは、LC3分子の局在変化により、その多寡を評価することができるが、後者のオートファジーに関しては、十分な可視化技術が確立していない。そこで、本研究では、Atg5依存的オートファジーと非依存的オートファジーの両者を、生体レベルで可視化する技術を開発する事を目的として研究を行った。 具体的には、オートリソソームを可視化できるトランスジェニックマウスを作製し、 LC3トランスジェニックマウスと交配する事により、両者のオートファジーを観察する事に成功した。さらに、このマウスから採取した細胞にDNA切断ストレスを加えたところ、1つの細胞内で両方のオートファジーが活性化されることを見出した。また、マウスの解析からは、心臓の発生時に新規オートファジーが活性化される事を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、オートファジーを可視化する技術の開発とその応用を計画した。また、前者の研究として、可視化プローブの開発とオートファジーモニターマウスの作製を行なう事、後者の研究として、これらの技術を応用して、生体のいつ、どの場所で、どちらのオートファジーが活性化されているかを明らかにする事を研究対象とした。この中で、可視化プローブの作製に関しては、現在のところ成功していないが、オートファジーモニターマウスの作製には成功しており、両者のオートファジーを同時に観察できるようになった。また、その応用として、心臓等いくつかの臓器で新規オートファジーの活性化が観察できた。これらの進捗は、概ね予想通りであり、順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
オートファジーモニターマウスに関しては、新規オートファジー関連分子の挙動をモニターする新たな可視化マウスの作製に取り組んでいる。また、可視化プローブに関しては、オートファジー分子に結合する化合物の同定に尽力しており、期限内の開発を目指している。オートファジー実行部位の特定に関しては、開発済みのオートファジーモニターマウスを用いて、発生期とストレス負荷時における各臓器のオートファジーの多寡を検討していく予定である。
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