研究課題/領域番号 |
25670140
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡島 徹也 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20420383)
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研究分担者 |
黒坂 光 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (90186536)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | O-GlcNAc / ジストログリカン / EOGT |
研究実績の概要 |
糖鎖修飾は、分泌過程で生じる翻訳後修飾の典型的なものであり、分泌タンパク質や膜表面タンパク質の大半は、何らかの糖鎖修飾を受ける。その中で、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)修飾は、ゴルジ体において起きると従来は考えられていた。しかしながら、申請者らは、小胞体におけるGlcNAc修飾反応を見出した。最初の例は、Notch受容体のO-GlcNAc修飾であり、小胞体に局在するEOGTにより触媒される。興味深いことに、EOGT に相同性を示すEOGT-Lの遺伝子変異が、脳異常を伴う先天性筋ジストロフィー(Walker-Warburg症候群)の患者に見出された。また、EOGT-LはO-マンノシル化されたジストログリカン(DG)をGlcNAc修飾することが明らかになった。本年度は、EOGT-LによるDGのGlcNAc修飾機構を解析した。siRNAを用いたスクリーニングにより、小胞体並びにゴルジ体に局在すると考えられている糖ヌクレオチドトランスポーターが、EOGT-LによるDGのGlcNAc修飾に必要であることが明らかになった。これらの結果より、小胞体GlcNAc修飾の糖ヌクレオチドトランスポーターによる制御機構の可能性が示唆された。また、糖ヌクレオチドトランスポーターのノックアウト細胞が、EOGT-Lの機能解析に有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EOGT-Lの生化学的解析は終了し、機能解析に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
Walker-Warburg症候群(WWS)やその主徴である滑脳症に関連するDystroglycanのGlcNAc修飾として、申請者らが報告したEOGT-Lによる小胞体GlcNAc修飾と、従来から知られるPomGnT1によるゴルジ体GlcNAc修飾がある。しかし、両者は、生化学的には独立した糖鎖修飾経路で作用するため、なぜ小胞体とゴルジ体のGlcNAc修飾が双方にDystroglycan機能に重要な役割を果たすかは、現段階では不明である。 この問題を解決するために、EOGT-L変異マウスやEOGT-L/PomGnT2とPomGnT1の2重欠損マウスを作製し、大脳皮質層構造の異常を解析する。EOGT-L変異マウスが予定通り、作成できない場合は、EOGT-L変異マウスの代わりに、EOGT-Lの機能に必要な小胞体UDP-GlcNAcトランスポーターの遺伝子変異マウスを用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しく単離した糖修飾酵素関連遺伝子を欠損した細胞の樹立を試みていたが、ゲノム編集用の試薬の納入に時間がかかり、全体の実験計画が6ヶ月程度、遅延しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
全額、消耗品(研究試薬)の購入に充当する。
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