研究課題
挑戦的萌芽研究
細胞のリプログラミング技術は再生医療や創薬研究への応用が期待されているが、その機序については未だ不明な点が多い。その中でも特に、細胞のリプログラミングと増殖の関係については多くの点が未解明なままである。最近の研究で、我々はマウスの線維芽細胞にHnf4αとFoxa(Foxa1、Foxa2、Foxa3のいずれかひとつ)という肝細胞分化に関連した2種類の転写因子を導入することで、線維芽細胞を肝細胞の性質を有する細胞(iHep細胞)へと直接変化させることに成功した。これを踏まえ、本研究では、線維芽細胞からiHep細胞への誘導をモデルとし、細胞リプログラミングにおける細胞増殖の意義を明らかにすべく研究を行う。平成25年度では、線維芽細胞からiHep細胞へのリプログラミング過程にある個々の細胞について細胞増殖のパターンを動画解析することに成功した。また、細胞リプログラミングと細胞増殖の関係についても興味深いデータを得つつある。本研究によって細胞のリプログラミングと増殖の関係が明らかになれば、リプログラミングの原理に関する新たな知見を得られるだけでなく、医療応用に向けたリプログラミング技術の効率化や精度の向上などが期待される。
2: おおむね順調に進展している
これまでの研究では、線維芽細胞からiHep細胞へのリプログラミング過程にある細胞増殖のパターンを動画解析することに成功しただけでなく、細胞リプログラミングと細胞増殖の関係についても興味深いデータを得つつある。このことから、細胞リプログラミングにおける細胞増殖の意義を理解するために、おおむね順調に研究が進んでいるといえる。
今後は、線維芽細胞からiHep細胞への誘導をモデルとした細胞リプログラミングと細胞増殖の関係に関する研究を引き続き進めるとともに、ジェネティック/エピジェネティックな解析を随時取り入れることで、細胞のリプログラミングと増殖をつなぐ分子機構に対しても研究を発展させていく。
次年度使用分は全額基金に相当する。研究の順調な進行にともなう研究の拡大を考慮し、研究費をより効果的に使用するために次年度での使用を決定した。研究の拡大にともなう物品費の補充、及び、研究成果発表のための旅費、論文投稿料などに使用する予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 8件) 備考 (1件)
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