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2013 年度 実績報告書

代謝とポリコーム群によるがん制御

研究課題

研究課題/領域番号 25670152
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

磯野 協一  独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (90323435)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2014-03-31
キーワードエネルギー代謝 / ポリコーム群 / 遺伝子発現制御
研究概要

がん細胞が増殖するためのエネルギー源は主として解糖系から供給されている。事実、がん細胞の解糖系はそのオリジナル正常細胞と比べて200倍以上も活性化していると言われている。なぜエネルギー生産率の低い解糖系を選ぶかは長年の謎であるが、その理由がわかれば今後のがん治療の発展に大きく貢献することは疑いもない。一方、ポリコーム群と呼ばれるクロマチン作用タンパク質は、主要癌抑制遺伝子Cdkn2aの発現を抑える働きを持つことから癌化の原因因子の1つと考えられている。我々は、ポリコーム群機能に影響するキナーゼsiRNAライブラリの探索研究から、エネルギー代謝に関与する9種のリン酸化酵素を選別していた。そこで作業仮説として、エネルギー代謝系リン酸化酵素がポリコーム群機能を活性化し、効率的にCdkn2a遺伝子が抑えられ、癌増殖を促進すると考えた。本研究ではその仮説の確度を知ることを目的とし、その期間は1年間とした。
(1)マウス胚繊維芽細胞に解糖系阻害剤(2-DG、Bromopyruvateなど4種)を添加し、ポリコーム群によって抑制されているCdkn2aの発現変化を調べた。数回のテストを行ったが、結果のばらつきが非常に大きく、阻害剤の効果を判断することができなかった。この不明瞭さは阻害剤の作用範囲の大きさによるものかもしれない。
(2)候補9遺伝子の確度を高めるためにその遺伝子産物とポリコーム群とを免疫沈降解析した。その結果、3つの遺伝子産物が弱いながらもポリコーム群と結合することがわかった。一般的にキナーゼと基質タンパク質との相互作用は一時的であることから、この弱い結合能はむしろリーズナブルであると考えている。
本年度の研究から9種のうちの3種の代謝系キナーゼがポリコーム群機能に直接的に作用する可能性が示唆された。この絞り込みは、今後の詳細な検証のために重要な前進であると考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] SAM domain polymerization links subnuclear clustering of PRC1 to gene silencing.2013

    • 著者名/発表者名
      Isono et al.
    • 雑誌名

      Developmental Cell

      巻: 26 ページ: 565-577

    • DOI

      doi: 10.1016/j.devcel.2013.08.016.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ポリコーム群による遺伝子抑制とエピジェネティック治療への貢献2013

    • 著者名/発表者名
      磯野協一
    • 雑誌名

      遺伝子医学MOOK

      巻: 25 ページ: 37-42

  • [学会発表] ポリコーム群Phc2リン酸化による遺伝子サイレンシング2013

    • 著者名/発表者名
      磯野協一
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] 遺伝子サイレンシングにおけるポリコーム群Phc2リン酸化の役割2013

    • 著者名/発表者名
      磯野協一
    • 学会等名
      日本エピジェネティクス研究会
    • 発表場所
      奈良県新公会堂
    • 年月日
      20130530-20130531

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公開日: 2015-05-28  

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