研究課題
挑戦的萌芽研究
22q11.2 領域欠損症候群は3000 人から4000 人に一人認められる染色体異常であり、 統合失調症の患者さん全体の1~数%をしめることから、22q11.2 領域の欠損によって発症する統合失調症者の治療法の開発は意義が大きいと考えられる。ヒトの22q11.2 領域には約30 の遺伝子が存在しており、22q11.2 領域に相当する領域はマウスでは第16 番染色体に存在し、一部の領域に逆位は認められるが、ほぼ全ての遺伝子群がその領域に保存されていることが知られている。 このため、Cre/loxP の技術による染色体欠損技術を用いれば、22q11.2 欠損症候群モデルマウスの樹立が可能である。申請者は、この22q11.2 欠損症候群モデルマウスを用いて行動学的解析を行い、統合失調症様行動異常をきたすことを見出している。我々は、このモデルマウスの中枢神経構造を解剖学的、組織学的に検討することで、海馬の歯状回と大脳資質の介在神経細胞に異常があること、この神経発生学的異常が22q11欠損領域に存在するDgcr8欠損によるCxcl12/Cxcr4 シグナルの障害によって生じることを見出した。 モデルマウスの行動異常の原因となる神経回路網の同定を目指し、神経発生異常を起こすDgcr8をレンチウイルスベクターを用いて中枢神経系部位特異的に再発現させることで、行動異常の補償ができるか検討を行っている。
3: やや遅れている
行動異常を補償できる候補遺伝子の選択に時間がかかった。
レンチウイルスによる行動異常補償実験に加え、当初の予定通り、Cre/loxP を用いたtransgenic mice/knockin miceを用いた遺伝子発現法も検討を行う。
transgenic mice / knockin mice の作成にあたって、どの遺伝子を補償実験に用いるか決定するのに時間がかかったため。transgenic mice / knockin mice の作成もしくは、作成したマウスの行動異常、新規絵構造異常の解析に使用する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Proc Natl Acad Sci U S A.
巻: 110 ページ: 17552-7
10.1073/pnas.1312661110