研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、あるマウス集団から遺伝性の歩行失調を示す変異マウスを見つけだし系統化したことに起因する。その変異マウスの遺伝子解析結果から、病態原因遺伝子としてカルシウムチャネル型グルタミン酸受容体δ2 (GRID2)遺伝子のほぼ全長が欠損していることが明らかになった。変異マウスは後肢に重度の痙攣を起こすため歩けない。足の痙攣は少量の麻酔下において緩和されることから、足の痙攣を緩和する薬剤のスクリーニングを行った。その結果、メマンチンが足の痙攣を改善させることがわかった。しかし、メマンチンを投与するとバランス感覚も失われることがわかった。メマンチンは、非競合的NMDA (N-methyl-D-aspartic acid)受容体阻害薬であり、中等度から重度のアルツハイマー型認知症における症状の進行を緩和する抗認知症薬として臨床で使用されている。メマンチンはNMDA受容体の異常な活性化のみを防ぐとされ、比較的副作用の少ない薬として提案されている。しかし、めまいの副作用が現れることも報告されている。GRID2変異マウスの表現型は様々な角度から検討がなされて来たが、バランス感覚に関しては検討されていない。今回、我々はGRID2によるNMDA受容体の機能調節とメマンチンの作用機序におけるGRID2の役割ついて検討したので報告する。また、変異マウスの神経細胞におけるエネルギー代謝についても着手したので併せて報告する。
1: 当初の計画以上に進展している
論文を投稿中である。
本マウスを活用し、低分子化合物を経口投与すれば、夾雑物が含まれる状況でも、脳に移行し、AMPAやNMDAレセプターに作用する薬をスクリ-ニングできることが示唆された。今後は、創薬初期に利用することを計画している。
輸入手配品が年度内に間に合わなかったため。既に納品済みで、計画に従って研究を行っている。
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PLos ONE
巻: 9 ページ: in press
10.1371
J Nat Med
巻: 67 ページ: 705-710
10.1016