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2014 年度 実績報告書

Grid2シグナル制御におけるBDNFの役割解明と応用

研究課題

研究課題/領域番号 25670155
研究機関独立行政法人医薬基盤研究所

研究代表者

竹森 洋  独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクトリーダー (90273672)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードGrid2 / BDNF / 遺伝学
研究実績の概要

NMDA受容体に由来するCa2+シグナルによる神経毒性は認知症等の様々な病因と考えられている。我々は、飼育中のマウス集団に遺伝性の歩行失調マウスを見出し系統化に成功した(系統名:TS3)。そして、原因がグルタミン酸受容体D2(Grid2)遺伝子の全長欠損による新規変異であることを明らかにした。また、TS3マウス小脳では、NMDA受容体機能低下とその下流のGABA受容体機能不全が予想され、根本原因の1つとして神経栄養因子(BDNF)の分泌不全が示唆された。
認知症薬の1種のメマンチン(NMDA受容体阻害剤)投与で、TS3マウスの平行感覚が麻痺することが示唆された。そこで、記憶との関係を検討することにした。Grid2変異マウスは歩行失調により、通常の記憶試験が実施できないため、視覚調節(動体視力)の記憶(運動記憶)に関して検討した。その結果、Grid2及びメマンチン投与マウスは視覚調節不全で運動記憶が構築されなかった。
また、免疫組織化学的検討から、Grid2変異マウスの小脳ではBDNF分泌不全が示唆され、メマンチン処理でも小脳顆粒細胞でのBDNFの発現異常が観察された。BDNFに神経保護作用も報告されていることから、初代神経細胞のグルタミン酸毒性を検討したところ、Grid2変異マウス及びメマンチン処理はどちらも神経保護作用を示した。しかし、この現象にBDNFの発現との相関は観察されなかった。さらに、電気生理的解析から、Grid2変異マウスはNMDA受容体の機能が低下していることが示唆された。
以上のことから、Grid2変異はBDNFの発現異常により神経伝達機能に異常をきたすと予想される。また、その結果、グルタミン酸シグナルが低下するために、見かけ上の神経保護が観察される。一方、運動記憶構築は障害されたと予想した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] SIK3 deficiency exacerbates LPS-induced endotoxin shock accompanied by increased levels of proinflammatory molecules in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Sanosaka M, Fujimoto M, Ohkawara T, Nagatake T, Itoh Y, Kagawa M, Kumagai A, Fuchino H, Kunisawa J, Naka T, Takemori H
    • 雑誌名

      Immunology

      巻: 144 ページ: in press

    • DOI

      10.1111/imm.12445

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Altered Actions of Memantine and NMDA-Induced Currents in a New Grid2-Deleted Mouse Line.2014

    • 著者名/発表者名
      Kumagai A, Fujita A, Yokoyama T, Nonobe Y, Hasaba Y, Sasaki T, Itoh Y, Koura M, Suzuki O, Adachi S, Ryo H, Kohara A, Tripathi LP, Sanosaka M, Fukushima T, Takahashi H, Kitagawa K, Nagaoka Y, Kawahara H, Mizuguchi K, Nomura T, Matsuda J, Tabata T, Takemori H
    • 雑誌名

      Genes

      巻: 5 ページ: 1095-1114

    • DOI

      10.3390/genes5041095

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] GRID2はメマンチンの作用機序における新しい調節因子である2014

    • 著者名/発表者名
      熊谷彩子、伊東祐美、賀川舞、松田潤一郎、佐々木勉、田端俊英、竹森 洋
    • 学会等名
      第51回日本臨床分子医学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-04-11

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公開日: 2016-06-01  

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