NMDA受容体に由来するCa2+シグナルによる神経毒性は認知症等の様々な病因と考えられている。我々は、飼育中のマウス集団に遺伝性の歩行失調マウスを見出し系統化に成功した(系統名: TS3)。そして、原因がグルタミン酸受容体D2(Grid2)遺伝子の全長欠損による新規変異であることが示唆された。Grid2変異マウスはNMDA-R阻害剤に対する感受性が亢進していた。動態視力および動き順応の解析から、Grid2変異マウスは運動記憶の構築に異常があることが示唆された。BDNFの発現異常も観察されたことから、Gird2変異マウスはNMDA受容体に依存した記憶構築に重要であると示唆された。
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