研究課題/領域番号 |
25670157
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 教郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20447254)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 低酸素応答 / エリスロポエチン / 遺伝子改変マウス |
研究実績の概要 |
慢性的な組織低酸素状態は、様々な病態の悪性化に関わる。これまでに、急性期の低酸素負荷のに対する細胞応答機構に関しては多くの知見が得られているが、数ヶ月以上の慢性的な低酸素に対する応答機構については、ストレス環境を再現する解析系の構築が困難であり、明らかにされていない。本研究では、造血因子エリスロポエチンの減少により慢性貧血状態に陥るマウスを慢性低酸素環境応答解析モデルとして用いて、本マウスが生存・繁殖するために獲得する慢性低酸素適応機構の探索と解析に取り組んでいる。 初年度は、実際に貧血マウスが重篤な慢性低酸素状態に陥っているにもかかわらず、寿命や繁殖力に異常を認めないことを確認した。また、急性の低酸素負荷によって誘導される遺伝子群の発現が亢進していること、血糖値が上昇していることを明らかにした。2年目の本年度は、貧血マウスにエリスロポエチン製剤を投薬し、貧血から回復した状態を3週間維持したマウスの解析を行い、貧血マウスと比較した。その結果、低酸素誘導性の遺伝子発現は正常マウスと同レベルにまで低下していたものの、高い血糖値と低い肝グリコーゲン量は変化しないことがわかった次に、低酸素誘導性転写因子HIFの関与を調べるため、肝臓特異的にHIF抑制因子PHDを欠損させた遺伝子改変マウスの解析を行った。その結果、急性期の低酸素応答と同様に、慢性低酸素応答においてもHIFが中心的役割を担うことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに慢性貧血マウスへのエリスロポエチン投与実験で成果を得た。また、肝臓特異的に低酸素誘導性転写因子HIFが恒常活性化したマウスの樹立と解析を行い、慢性低酸素応答におけるHIFの役割を明らかにした。成果の一部を論文投稿し、現在、リバイス対応中である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の3年目は、これまでに明らかとなった貧血マウスのエネルギー代謝と遺伝子発現制御機構について、貧血回復モデルおよび肝臓特異的HIF恒常活性化マウスとの比較を詳細に行い、慢性低酸素応答の制御メカニズムに迫る。また、制御の分子メカニズムを明らかにする目的で、培養細胞におけるノックダウンおよび過剰発現解析を行う。
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