研究課題
様々な病態において、慢性的な組織低酸素状態が病態の悪性化に関与していることが指摘されている。本研究では、造血因子エリスロポエチンの遺伝子改変により、成獣で重度の貧血を発症するマウスが全身性の慢性低酸素のモデル実験系として有効であることを見いだした。そこで、本マウスが生存・繁殖するために獲得する慢性低酸素適応機構の探索と解析にとりくんだ。まず、貧血マウスの遺伝子発現様式について網羅的な解析を行い、貧血マウスの肝臓で特異的に高発現する遺伝子を同定した。この遺伝子発現は、造血因子エリスロポエチンを投与して貧血状態を回復させることにより消失した。また、6%酸素環境で2日間飼育した(急性低酸素曝露)野生型マウスでは軽度の発現上昇にとどまった。現在、本遺伝子の慢性低酸素適応における役割について、阻害剤などを用いた解析を進めている。さらに、貧血マウスの代謝経路を明らかにするために、メタボローム解析を行ったところ、腎臓においてグルタチオン産生量が低下していること見出した。以上の変化が低酸素誘導性転写因子HIFを介しているか否かを確認するために、肝臓および腎臓でHIFを強制活性化させた遺伝子改変マウスを樹立し、解析を行った。その結果、肝臓における貧血マウスの遺伝子発現様式が一部再現され、HIFが急性期の低酸素応答だけでなく、数ヶ月におよぶ慢性的な低酸素状態に対する生体応答においても大きく貢献することが示された。
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