研究課題
シアリルルイスX抗原はがんの血行性転移に関与する。ヒト肺腺がん細胞には分子量250kDa以上と分子量190kDaの二つのシアリルルイスX抗原キャリアータンパクが存在する。これらを同定するため、大量培養したヒト肺腺がん細胞ABC-1から、WGAレクチンクロマト、抗シアリルルイスX抗体を固相化したイムノアフィニティークロマト、MonoQイオン交換くクロマトを組み合わせて精製した。精製タンパクをSDS-PAGEにかけ、分子量250kDa以上と190kDaの部位を別個に切り出し、トリプシンでゲル内消化を行った後、抽出したペプチド断片を質量分析装置にかけシアリルルイスX抗原キャリアータンパクXとYを同定した。Gal3ST-2導入細胞の膜タンパク抽出液を、同定したタンパクXとYに対する抗体を用いて吸収実験を行い、分子量250kDaと分子量170kDaのスルホルイスX抗原キャリアータンパクが親細胞ABC-1のシアリルルイスX抗原キャリアータンパクX、Yとそれぞれ同じタンパクであることを確認した。siRNAを用いてABC-1細胞における190kDaタンパクYの発現をノックダウンして、細胞表面のシアリルルイスX抗原の発現変化をフローサイトメトリーで調べたが変化がみられなかった。このことから細胞表面のシアリルルイス抗原キャリアータンパクは分子量250kDa以上のタンパクXであると考えられた。タンパクXに対する抗体で染色すると抗シアリルルイスX抗体と同様に細胞表面が染色された。最終年度である今年度はCRISPR/Cas9を用いてシアリルルイスX抗原キャリアータンパクXのノックアウトを試みたが、タンパクX欠損細胞が得られなかった。タンパクXは生存に必須である可能性が考えられたので、誘導可能なCas9のシステムを構築中である。
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