研究課題
Smad 分子はTGF-βシグナル伝達で細胞内シグナル伝達分子として働くが、本研究では新たな役割としてスプライシング制御に関わる可能性を検討している。網羅的解析で同定されたSmad結合タンパク質のうち、スプライソソーム複合体構成分子のLUC7L3とSmad類の結合を免疫共沈降法(Co-IP)で分析したが、両者の物理的会合を確認するに至っていない(H25年度研究実績)。その理由として次のような事が考えられる。1)LUC7L3とSmadとの結合を他のスプライソソーム構成分子が干渉している。2)SmadはLUC7L3とは結合せず、他のスプライソソーム構成分子と結合し、スプライシング機構に影響を与えている。そこでLUC7L3と複合体を形成するスプライソソーム複合体構成分子としてJMJD6に着目した。LUC7L3とJMJD6はSmad結合性プロモーター領域を含むルシフェラーゼレポーター活性を、TGF-beta刺激下、及び、JMJD6はBMP6刺激下においても、上昇させた((CAGA)12-luc、(SBE)4-luc)。さらに、LUC7L3とJMJD6が複合体を形成する事をCo-IPで確認した。そこで、Smad3をLUC7L3とJMJD6の複合体形成実験に加えたところ両者の結合がさらに促進される結果が得られた。加えてJMJD6とSmad3の結合が微弱ながらCo-IPで確認された。以上の事を総合すると、Smad3はLUC7L3及び、JMJD6と3者複合体を形成する事が示唆された。今後さらにLUC7L3とJMJD6の結合に対する他のSmad分子の影響を検討するなど詳細な検討を進めていきたい。以上の事より、本研究実績により、スプライシング制御におよぼすSmad分子の新たな役割を探索する研究基盤が得られたと考えられる。
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J. Signal Transduct.
巻: 2014 ページ: 970346
10.1155/2014/970346