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2013 年度 実施状況報告書

糖ヌクレオチド輸送体による腸管機能制御の分子メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 25670170
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関神戸薬科大学

研究代表者

平岡 秀一  神戸薬科大学, 薬学部, 研究生 (20291156)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード糖ヌクレオチド輸送体 / 腸管ホメオスタシス / グリコサミノグリカン
研究概要

目的 本研究は糖ヌクレオチド輸送体SLC35D1の遺伝子破壊の誘導により引き起こされる腸管絨毛の崩壊現象を解析し、腸管機能発現におけるこの遺伝子の機能を明らかにする事を目的とする。
方法 SLC35D1遺伝子の組織特異的遺伝子破壊の可能なSlc35d1(flox/flox)マウス系統に、タモキシフェン(TXF)により活性化されるCreリコンビナーゼ遺伝子を導入、TXFの投与によりSLC35D1遺伝子の破壊を誘導した。TXF投与後、小腸を経時的に採取し、腸管絨毛の崩壊過程を追跡、遺伝子生化学的および組織化学的な解析を行い、糖鎖と細胞増殖能、遺伝子発現の変化について調べた。
結果 腸管組織標本を作製し、核酸アナログの取り込みを指標に細胞増殖能の変化を解析したところ、絨毛構造に異常が生じる前にクリプト領域での細胞増殖が著しく低下する事が判明した。クリプト領域の細胞増殖にインパクトのあるWntおよびNotchシグナル伝達系遺伝子の発現について、定量的PCRを用いて評価したところ、顕著な低下は認められなかった。また、絨毛崩壊が始まる前の腸管組織を生化学的に解析したところ、二割程度のコンドロイチン硫酸の含量低下が認められた。
結論及び考察 以上の観察から、Slc35d1遺伝子欠損の作用点が判明、この遺伝子欠損による腸管異常はクリプト領域でおこる幹細胞の分化増殖に起因し、Slc35d1は、恐らく既知の分化シグナル伝達系と異なるメカニズムで腸管ホメオスタシスの維持に貢献していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

腸管組織のホメオスタシスは、種々の分子による機能的ネットワークにより支えられている。従って、腸管のホメオスタシスにおけるSlc35d1の機能を明らかにするためには、腸管組織の何処に焦点を当てるべきか判定する事が、重要なステップになる。実験結果から、この遺伝子欠損による腸管異常はクリプト領域でおこる幹細胞の分化増殖に起因することが見いだされ、Slc35d1遺伝子欠損の作用点が判明した。また分化シグナル分析、糖鎖分析等も概ね計画通りに行っている。

今後の研究の推進方策

これまでは、小腸全体から組織を採取し分析してきたが、今後はクリプト領域に焦点をあて、より解像度の高い解析を行う。腸管クリプト領域での幹細胞の増殖・分化を指標として分析、Slc35d1の欠損がどのようにこの過程に影響を与えるのか、そのメカニズムを探る。腸管クリプト領域を顕微鏡下でレーザーにより切り出し、採取された組織について、遺伝子生化学的な分析を行い、糖鎖組成、遺伝子発現の変化を解析する。また、小腸から幹細胞を単離し、in vitroで腸管組織を分化させる実験系を導入し、Slc35d1の欠損時におこる異常を細胞レベルで分析する。

次年度の研究費の使用計画

申請者の実験実施施設の変更のため、マウスを移動した。これに伴い、分析に使用するマウス個体数を確保するための時間的遅延が生じたため、腸管蛋白質漏出などの分析に遅延が生じた。
現在、マウス個体数を十分確保出来ているので、前年度の残っていた実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] CCN3 protein participates in bone regeneration as an inhibitory factor.2013

    • 著者名/発表者名
      Matsushita Y, Sakamoto K, Tamamura Y, Shibata Y, Minamizato T, Kihara T, Ito M, Katsube K, Hiraoka S, Koseki H, Harada K, Yamaguchi A.
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: 288 ページ: 19973-19985

    • DOI

      10.1074/jbc.M113.454652.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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