研究課題
本研究の目的は、遺伝病患者および正常人において同定されたゲノム微細構造異常の解析により、これらの発生に関与する遺伝的因子と環境因子を解明することである。初年度には、臨床的にアロマターゼ過剰症が疑われる患者のゲノムコピー数解析を行い、アロマターゼ過剰症の発症に 11種類の15番染色体長椀ゲノム微細構造異常が関与することを見出した。さらに、ランガー中肢骨短縮症候群患者1例において、性染色体擬常染色体領域の複合ヘテロ結合性微細欠失を同定し、SHOX遺伝子に複数の遠位エンハンサーが存在する可能性を見出した。また、眼球形成異常症患者におけるゲノムコピー数異常を同定し、その切断点を決定した。H26年度の主な成果は下記の2点である。(1)8番染色体父性片親性アイソダイソミーによりCYP11B1遺伝子劣性変異が顕在化し、11β水酸化酵素欠損症が発症した症例を同定した。常染色体劣性疾患の発症機序のひとつとして、片親性アイソダイソミーの可能性を考慮する必要性を明確とした。(2)56例の無精子症/乏精子症患者を含む121例の日本人男性を対象として、MLPAを用いたY染色体azoospermia factor (AZF)領域のコピー数解析を行い、下記の点を明らかとした:1)AZF領域のゲノム再構成には、単純欠失と単純重複のほか、重複と欠失の組み合わせやtriplicationを含む多彩な構造変化が含まれる。2)AZF領域のコピー数解析は、従来の報告より明らかに高頻度であり、多様性に富む。3)日本人集団においては、AZF領域内の微小欠失よりも微小重複が精子形成に対して悪影響を及ぼす可能性がある。
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