研究課題
挑戦的萌芽研究
本年度は、rSeVを用いた遺伝子操作マウス構築を主として検討した。1)使用するベクターシステムの最適化:以下の3種のベクターに対し、rSeVを用いた遺伝子操作マウスの構築を試みた。 いずれにおいてES細胞への高効率遺伝子導入、遺伝子発現細胞の多能性について維持されていることを確認した。(1)ts-rSeV/dF(温度感受性変異挿入+F遺伝子欠損型ベクター:ベクター構築時に32oCにてM/HN遺伝子が発現し、体温に近い37oCにてM/HN遺伝子発現が著減する)、(2)rSeV/dFdMdHN(ウイルス膜を構成する膜蛋白遺伝子全てを欠損する)、(3)薬剤耐性遺伝子によるマウス構築効率の最適化:薬剤耐性遺伝子(neomycinr、puromycin N- acetyltransferase (Pac))を持つベクター(ts-rSeV/dFneo、rSeV/dFdMdHNneo、ts-rSeV/dFpac、rSeV/dFdMdHNpac)。2)RNAヘリカーゼノックダウンベクターの構築:これまでの検討ではRIG-Iのdominant-negative変異体(RIG-IC)をrSeVにて発現させることにより個体発生まで至ることを見出した。このRIG-ICの必要性について、特に長期生存時における表現型の修飾について検討を進めた。
2: おおむね順調に進展している
特にrSeV/dFdMdHN(ウイルス膜を構成する膜蛋白遺伝子全てを欠損する)については、ベクター作成~回収においてタイターが低い。現時点で原因は不明であるが、製造法の仔細を現在検討中であり、その点でやや遅れている。このタイプのベクターは、個体発生に最も適していると考えられるため、特に集中して実施している。
2年目は、特に動物疾患モデルの開発に力点を移す。本遺伝子操作マウスは「全身で外来遺伝子を高発現する」ことが特徴であるため、特定の蛋白にて惹起される疾患モデルが最も適していると考えられる。(1)アルツハイマー病モデルマウスの構築:Aβアミロイドの沈着により発症する「アルツハイマー病モデルマウス」の構築を目標とする。これまでに存在するAPPマウスは明確に神経細胞へアミロイド沈着を認めるまで半年以上要することを確認しているが、これが少なくとも3ヶ月以内に短縮するか、について検討する。(2)新しい動脈硬化モデルマウスの構築:siRNAによりsystemicにLDLRあるいはApoE遺伝子をノックダウンすることにより、新しい動脈硬化モデルマウスを構築する。これと既存モデルとの動脈硬化巣の形態学的な違いについて、検討する。
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Cancer Immunology, Immunotherapy
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