研究課題/領域番号 |
25670178
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
仁木 利郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90198424)
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研究分担者 |
吉本 多一郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (20634166)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肺癌 / 転移 |
研究概要 |
本研究では、さまざまなドライバー変異を有する腺癌細胞株を系統的にNOD/SCIDマウスの胸腔あるいは左心室内に移植しin vivoの転移モデルを作製することを目的としている。肺癌細胞40株のドライバー変異の内訳は、KRAS (n=11), EGFR (n=5), MET (n=3), HER2 (n=2), BRAF (n=2), EML4-ALK (n=1)などであり、肺腺癌のドライバー変異の多様性をよく反映した構成になっている。初年度は以下の検討を行った。 (1) 低接着条件での長期培養:より高い転移能を持つ細胞を選択するために、肺癌細胞40株について、低接着培養皿上での浮遊培養を3-4ヶ月継続して行った。浮遊培養の初期では、円形のスフェロイドを形成するものが27株、ぶどう状のスフェロイドを形成するものが13株あり、一部をのぞき、ほとんどの細胞株において細胞数の減少あるいは増加の停止がみられた。しかし、長期浮遊培養を行うことにより、スフェロイドの形態変化とともに新たに増殖能を獲得した細胞が選択されてくる現象が半数近くの細胞株において認められた。 (2) 胸腔内接種、左心室内接種の準備実験:(1)の長期浮遊培養で得られた亜株の一部はすでに胸腔内への接種を行い、肺内の脈管内への侵襲性、肺内転移を示すことが確認されている。さらにIn vivo imagingの実験の準備のためLuciferase 発現ベクターを安定的に発現するための遺伝子導入実験についても開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高転移能を付与するための長期浮遊培養は順調に進んでいる。胸腔内接種によりより悪性形質を示す亜株も得られている。マウスへの接種実験は当初の計画より少し遅れているが、大きな遅れとはなっておらず問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
長期浮遊培養を行うことによりスフェロイドの形態変化とともに新たに増殖能を獲得した細胞のうち、特にEGFR, KRAS, HER2, MET, RET, ALKなどのドラバー変異の判明している細胞を重点的に解析する。in vivoの接種前に luciferase 発現ベクターを導入し、in vivoでの転移をモニターできるようにしておく。転移能を新たに獲得した細胞については、ゲノムワイドのコピー数解析、遺伝子発現解析を行い、親株と比較することにより、転移能の獲得に関与している遺伝子変異を探索する。転移関連遺伝子の候補については、shRNA vectorなどのよるノックダウン実験により機能解析の実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスへの接種実験がやや予定より遅れているため。 長期浮遊により転移能を増した亜株は10数株あり、さらにLuciferaseを安定的に発現させたのち、マウスの胸腔内あるいはは左心室内への接種実験を行う。EGFR, KRASなどのドライバー変異の判明している細胞を中心に解析するが、1細胞株につき3匹のマウスに接種することを計画している。
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